ミネベアミツミ株式会社
執務エリア約20フロアに転用家具をレイアウト。統一感のあるオフィスが完成
ミネベアミツミ株式会社
執務エリア約20フロアに転用家具をレイアウト。統一感のあるオフィスが完成
日本初のミニチュアベアリングの専業メーカーとして、1951年(昭和26年)に創業し、以降70年余年にわたり成長を遂げてきたミネベアミツミ株式会社様。オーガニック成長とともにM&Aで事業を拡大し続けています。
2022年には、東京本部を含む複数の拠点を統合し、移転することが決定。ゼネコンやサブコンといった数多くのパートナー企業が集まる巨大プロジェクトが2022年7月末にスタートしました。リリカラは、執務エリア約20フロア分と役員室1フロア分のレイアウト設計、家具選定、床のデザイン、カフェ・食堂の造作家具の製作を担当しました。
このような大規模なプロジェクトで、さまざまな課題や要望をどうクリアしていったか、プロジェクトを推進したミネベアミツミ 人事総務部門 総務部 部長 桑野康成様とリリカラ オフィスソリューション営業本部 プロジェクトマネージャーの江部智浩によるクロストークでお伝えします。
背景・課題
●3拠点集約・統合によるシナジーの向上を目指したい
●M&Aにより集まった多様な人材の交流と新たな人材の確保
●従来のオフィスで使用していた家具を転用したい
解決策
●ブランドやカラー、テイストが異なる既存家具の転用計画を策定してレイアウト
●企業としての統一感および帰属意識を生むためのブランディング強化
●人が集まり、新たな交流を生む空間に適した家具・什器の提案
さらなる成長を目指し、拠点統合・移転を決行
―――まずはオフィス移転の背景とリリカラを選んだ理由をお聞かせください。
(桑野様)
当社はかつて三田に13階建ての自社ビルを構えていたのですが、手狭になり、少し離れたところに別でオフィスを借りていました。せっかく会社が大きくなっても、皆が違うところで働いていてはシナジーを生むことができないだろうと、それぞれの拠点が集まることで人と人との交流を増やし、新たな価値を生む場を求めていました。そうしたら、たまたま、汐留のビルの入札機会をいただき、3拠点を統合し移転することにしました。
(江部)
三田のビルは、キャパシティ的にもう限界に近づいているという話が耳に入ってきたため、そろそろ移転するんだろうと思っていましたよ。そこで「ついに来たか!」と勇んで取り組みました。
(桑野様)
提案内容はもちろん、複数のメーカーの家具を扱えるという点、高い運営能力がある点でリリカラさんを選びました。あとは、三田でご一緒した江部さんをプロジェクトメンバーに入れてほしいと要望を出しました。
数多くのパートナー企業が関係する巨大プロジェクト
―――プロジェクト体制について伺えますか?
(桑野様)
なにせ地上28階、地下4階という大きなビルで、規模は従来の3倍以上。プロジェクトを進行するには、それなりのスタッフが必要になります。まずは社内で事務局を設け、その下に人事総務系、デザイン系、IT系など9つの分科会をつくり、全体会議を毎週行い、トップに作業の進捗を報告しながら詰めていきました。
(江部)
当社が担当したのは一部ですが、ゼネコン、サブコンなど20社以上、いや下請けを含めたら50社くらいこのプロジェクトに参画していたはずです。
―――進行面で苦労したことはありますか?
(江部)
規模が規模で、スケジュールもタイトだったので、タスク管理が大変でしたね。当社が遅れを取ってしまうと、後工程で関わるパートナー企業さんに迷惑をかけるので、極力遅れないように努めました。
(桑野様)
途中、M&Aで2社が加わったので、フロア数も増えてしまいましたしね。カフェだけは移転後のオープンとなりましたが、他は比較的順調に進みましたね。リリカラさんとは長い付き合いですので、我々の行動を読まれていたという…。プランが変わっても、先読みして対応してくれて助かりました。
転用家具をリスト化、部署ごとにレイアウト
―――執務フロアには、以前のオフィスで使っていた家具を転用したのですよね?
(桑野様)
はい。当社はメーカーなので、機械の償却が終わってもメンテナンスしてとことん使うという文化があるんですよね。価値があるうちに償却してまた新しいものを導入した方が税務的なメリットがあるかもしれませんが、やはり、使える家具は全部使いたい。新しいオフィスに転用するのはもちろん、一部は工場で使ってもらうことにして、廃棄処分を極限まで減らしました。
(江部)
転用家具は、相当数ありましたね。イスは2,000脚以上あり、ブランド、シリーズ、カラーなどがバラバラでした。三田の20フロア分を30フロア(リリカラ担当分は20フロア)にどう配置するか、リスト化するだけでもひと苦労でした。
(桑野様)
M&Aにより持ち込まれた家具も多かったんですよね。だから、バラバラで。
(江部)
リスト化した後は、できるだけひとつの部署でテイストが揃うようにデスクとイスを組み合わせる作業に移りました。
(桑野様)
レイアウトされてみると意外と古さを感じさせず、全体の違和感もなくて。古いデスクと新しいイスをミックスしたり、斜めにレイアウトしたりと工夫してもらいました。
コンセプトを表現したカーペットデザイン
―――ブランディングを意識してデザインした部分はありますか?
(江部)
床ですね。移転コンセプトが、技術がクロスする「クロステックガーデン」(のちのビル通称)でしたので、M&Aにより多様な業種の人がクロスする、いろいろなカラーがクロスするといった意味で、タイルカーペットのパターンにクロス(十字)を取り入れたデザインを提案しました。
(桑野様)
カーペットのデザインは秀逸でしたね。単調になりがちな広いフロアの床面に変化をもたらすことができ、場所によっては独創的なパターンになっていてとても良かった。
(江部)
当社の設計部長が間違って貼っていないか全フロアをチェックして。間違っているところは全部直してもらって。それくらい複雑なパターンでした。
(桑野様)
おかげで、他のどこにもない我が社だけのフロアに仕上がって満足しています。
そういえば、カフェに設置した大きなテーブルは、リリカラさんにお願いしてつくってもらいましたね。私が「これくらい大胆なものはどう?」とクロス(十字)型のテーブルをポンチ絵にして、それを元にカフェフロアの設計を担当した山下設計さんにデザインしてもらい提案したらトップに気に入ってもらえたという経緯がありました。
(江部)
こちらもコンセプトが踏襲されて、結果的にブランディング強化につながりましたね。
効果は、この場所から、これから生まれる
―――3月に移転して、いま何か効果は出ていますか?(10月取材)
(桑野様)
会社の理念や方針を反映したオフィスはできましたが、効果が出るのはこれからだと思います。従業員の交流、人材の獲得、イノベーションの創出は、数年かかってようやく現れるのではないでしょうか。
ただ、移転前からクロスチームというコミュニティを組織し、移転後に交流イベントを開催しています。ある製品テーマに対して技術系の人と営業の人とが知り合う機会を設けたり、県人会をやったり。フットサルチームをつくりたいという話もあります。いずれにせよ皆が社内に知り合いを増やし、お互いの知見が必要とされるときに相合することで、新しいビジネスを生み出せるようにしていきたいです。
―――振り返ってみて、本プロジェクトはいかがでしたか?
(江部)
バイタリティのある桑野さんがこのハードなプロジェクトを引っ張ってくれたため、私も「がんばろう」という気持ちになりましたね。三田のプロジェクトルームにぬいぐるみが置いてあったのですが、ちょっとほっこりして。そんな桑野さんの遊び心、自社の移転プロジェクト(2023年10月日比谷に移転)を手掛ける際に、参考にさせてもらいました。
(桑野様)
プロジェクトルームと言えば、既存のテーブルを使って高低差のあるミーティングスペースをつくったり、使われなくなったコーヒーメーカーを持ってきて、コーヒーを出してみたり。それを汐留に活かすことにしてね。楽しんでやっていましたね。
(江部)
怒濤のように毎日が過ぎていきました。
(桑野様)
リリカラさんには、フレキシブルに対応してもらい感謝しています。事務局の手が回らない部分には、各部署に直接コンタクトして現場の要望を吸い上げてくれて、とてもやりやすかったです。安心してお任せできました。
―――お話お聞かせいただきありがとうございました!
DATA
会社名 | ミネベアミツミ株式会社 東京本部(東京クロステックガーデン) |
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オフィス所在地 | 東京都港区 |
リリカラ担当フロア数・面積 | 約20フロア/面積26,300㎡ 8,000坪 |
人数 | 1,800名 |
プロジェクト期間 | 2022年7月~2023年3月 |
ロール | 設計・デザイン/家具および什器セレクト・製作 |