2021年10月21日(木)、リリカラ株式会社と株式会社オカムラはオンラインセミナー『今こそ経営者が取り組むべきオフィスの最適化戦略~ニューノーマル時代の働き方に合わせた最適なオフィス計画とは~』を開催。
在宅勤務・シェアオフィスの活用など場所を問わない柔軟な働き方が浸透してきました。そこで出社率の管理や、出社する目的の整理など「オフィスのあり方」を見直す必要性が高まっています。
オフィス機能の最適化を図り、適正な規模で、最大の成果を達成するための「ライトサイジング」について、調査データ・手法・事例をご紹介しました。合わせてオフィスのロケーション戦略につながる、リリカラ不動産ワンストップサービスについても、昨今の不動産市況も交えてお伝えいたしました。
今回は、そのオンラインセミナーの様子をレポートします。
目次
【第1部】What‘s Right-Sizing?~ニューノーマル時代の働き方に合わせた最適なオフィスのサイズとは?~/株式会社オカムラ 武田 浩二 氏
コロナ禍で働き方・働く場が変わる

武田氏はニューノーマルの働き方・働く場を実現するためのチェックリスト・アイデアとして大きく3つの視点をご紹介しました。
① 個人の視点 (上部の図左2項目)
- オフィスに行く目的は明確か
目的を持ち、オフィスに出社する自律的な働き方が必要。 - オフィス・自宅以外に働く場は選べるか
働く場の選択肢を増やすことで、コミュニケーション不足や生産性の低下を防ぐ。
② チームの視点 (上部の図中央3項目)
- チームのつながりを強める場所があるか
リモートワークで希薄になりがちなチーム力を強化する。 - 雑談がフランクにできる場所があるか
社員と交流をすることで得られる気づきを大切にする。 - 実物やサービスを実体験できるか
リモートワークでは難しい直接的な体験ができる。
③ 組織文化の視点 (上部の図右2項目)
- 自社に誇りを感じる空間はあるか
個人の価値観と企業のミッションの関係性を確認し、誇りを持つ。 - 社風や企業文化を表す場はあるか
企業文化に合った活動の場を設定し社内外に訴求する。
働く場所の選択肢が増えたいま、これら3つの視点を取り入れながらオフィスの役割を明確にし、自宅やサードプレイスとの使い分けを行っていくことが重要です。
調査データから見るワーカーの意識の変化
2021年1月の緊急事態宣言発令下でリモートワークを経験した人3,000名を対象に、「働く環境を変化させるにあたり増加して欲しい投資は何か?」という質問をしたところ、以下のような回答が得られました。
こちらのグラフで注目していただきたいのは、水色で囲われた「働く場」への投資に関する4項目の合計が64.86%にまで上るという点です。
「在宅勤務に向けて実家や自宅を働きやすくするための投資」や、「サテライト拠点などフレキシブルに働くためのオフィスへの投資」を中心に、『働く場への投資』がリモートワーク経験者から求められていることが分かります。
働く場の「Right Sizing(ライトサイジング)」の必要性とは?
「Down Sizing(ダウンサイジング)」と「Right Sizing(ライトサイジング)」の違い
テレワークの浸透で働く場が分散し、オフィス面積の見直しを検討される方も多いです。
ここで知っておいていただきたいのが、「Down Sizing」と「Right Sizing」の違いについてです。
「Down Sizing」
- 不要な面積を単純に減らすこと
- オフィスコストの削減は可能だが、同時に働きやすさも損なわれる
「Right Sizing」
- 必要な機能を必要な面積に適正化
- オフィスコストの削減と働きやすさの向上を同時に叶える
「Right Sizing」を利用して削減したコストは、シェアオフィスの利用費用や在宅関連費用の他、ITシステムやDX化への費用に充てることで、働き方をさらに進化させることができます。
いまオフィスは必要なのか

講演の最後に武田氏は、「テレワークが浸透し、柔軟に働ける時代だからこそ、オフィスの機能を組み替える必要がある。」と述べた。
働く場所の自由度が高まったことで、多くの社員は「オフィスに行く意味」を考えるようになりました。これからは、経営層だけではなく、社員1人ひとりの意見を取り入れながら、理想のオフィス機能を整理する必要がありそうですね。
《第1部まとめ》
第1部では、株式会社オカムラの武田氏から、ニューノーマル時代に求められるオフィスについてお話しいただきました。オフィス面積の削減に関して、「Down Sizing」と「Right Sizing」は一見似ていますが、「Right Sizing」は、オフィスコストの削減だけではなく、働きやすさの向上にもつながるという点が印象的でした。皆様のオフィス見直しの際にも、ぜひ「Right Sizing」の考え方を取り入れてみてください。
【第2部】オフィステナント選定のポイント~リリカラ不動産ワンストップサービス~/リリカラ株式会社 田口 将弘
オフィス市場の変化
2021年から2023年のオフィス市場の変化についてです。
2021年
- 東京ビジネス地区※の平均空室率が上昇
- 東京ビジネス地区※の平均賃料が低下
- Covid-19の影響により、移転の延期や中止をする企業様が多かった印象
- ビルオーナー様が賃料を下げてでも入居者を確保したいという意図で、賃料交渉に応じるといったケースも見られた
※東京ビジネス地区・・・千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区
2022年
- 大規模な新築オフィスビルの供給床面積が例年に比べて少ない
- 【予想】大規模なオフィス移転については、移転先を見つけることが難しい年になる
- 【予想】Covid-19の影響もあり、賃料やフリーレントなど交渉可能であり、好条件の契約が引き出せる可能性もある
2023年
- 大規模な新築オフィスビルの供給床面積は2022年の約3倍
- 【予想】好条件のオフィスビルでも空室が発生する
- 【予想】大規模なオフィス移転が活性化する
オフィスビルの規模や条件によっても好都合な移転時期は異なるので、移転をご検討される方はオフィス市場の変化にも注目です。
オフィスニーズの変化
▼Before Covid-19

Before Covid-19においては、働き方改革という名のもと「オフィス内」の様々な場所でアクティブに働くことが出来るオフィス構築が主流でした。
オフィス内で快適に働くために、自由な働き方と社内交流が実現できるオフィス構築の傾向が浸透しつつありました。
新しく、設備が整ったビルが好まれ、人気のエリアでは空きビルがあまりなく、ビル賃料も上昇し、貸す側に有利な状態が続いておりました。
▼After Covid-19
一方で、After Covid-19においては、「オフィス外」の自宅やコワーキングスペースなどのサードプレイスでも働くことが出来ることになり、「オフィスでしかできないことは一体何だろう?」と議論されるようになりました。
しかし、その答えに唯一の正解はありません。業態や働き方が多様化した現在、リリカラでは、それぞれのお客様と共に企業の目指す方向に寄り添ったオフィスづくりを行ってまいります。
オフィステナント選定のポイント
田口は最後に、オフィステナント選定のポイントを3つご紹介しました。
- オフィス市場の変化を把握すること
- オフィスニーズの変化やオフィス回帰のトレンドを把握すること
- 不動産にもオフィスづくりにも知見があり、ワンストップ対応可能なパートナーを選ぶこと
これらのポイントを意識してオフィステナントを選定することが、オフィス移転成功への第一歩と言えますね。
第2部まとめ
第2部では、リリカラ株式会社の田口から、オフィス選定のポイントについてお話しいただきました。2021年から2023年の移転について、オフィスビルの規模や条件によっても好都合な時期が異なるという点が興味深かったです。
また、オフィス選定のポイントの3つ目に挙げられた「不動産にもオフィスづくりにも知見があり、ワンストップ対応可能なパートナーを選ぶこと」については、リリカラの不動産サービスもぜひご検討ください。
本セミナーのまとめ
在宅勤務・シェアオフィスの活用など場所を問わない柔軟な働き方が浸透し、「オフィスのあり方」を見直す必要性が高まっていることを受け、オフィス機能の最適化を図り、適正な規模で最大の成果を達成するための「ライトサイジング」やオフィステナントを選定する際のポイントについてご紹介しました。
オンラインセミナーを視聴する中で、「オフィスのあり方」を考えることは「会社のあり方」を考えることに繋がると感じました。経営者の視点を取り入れながら、会社のビジョンや姿勢を社内外に発信し、社員の能力を最大限に引き出すことがこれからのオフィスづくりのカギになるのではないでしょうか。
本セミナーがオフィスのリニューアルを行う際や、オフィス移転をご検討の際の一助となれば幸いです。