オフィスを移転した際は、登記手続きをはじめとした多くの届出が必要となります。あらかじめ必要な手続きの種類や概要を知っておけば、スムーズに移転ができるでしょう。
この記事では、オフィス移転時に重要な「本店移転登記」と、その他に必要な手続きについて順に解説します。
ただし本コラムの情報は作成時点のもオフィスの移転手続きで注意するべきポイントであり、法改正などによって変更される可能性があります。最新の情報や正確な手続きについては、必ず各管轄機関に直接ご確認ください。

オフィス移転プロジェクトの流れと担当者のタスク、各フェーズにおけるポイントをご紹介します!
目次
本店移転に必要な手続き
オフィス移転のことを法的には「本店移転」といいます。本店移転に際しては、法務手続、税務手続、社会保険関連の手続など、さまざまな事務処理が必要です。
ここでは、本店移転に必要な手続きの概要をまとめてご紹介します。

法務局で登記変更を行い、会社の新しい住所を正式に登録します。この際、定款の変更や株主総会議事録などが必要です。この手続きが完了しないと、税務署や社会保険関連の変更手続きが進められないため特に重要です。
税務手続き
移転前の税務署に移転届を提出し、新しい管轄の税務署で再登録を行います。提出期限は移転後1か月以内が目安です。
社会保険関連の手続き
健康保険、厚生年金、労働保険(労災保険、雇用保険)に関する手続です。健康保険や厚生年金については年金事務所で、労災保険や雇用保険については労働基準監督署やハローワークで住所変更の手続きを行います。
定款の変更
定款の本店所在地を番地まで具体的に記載している場合や、異なる市区町村へ本店を移転した場合は、定款を更新しなければなりません。
定款の変更には、原則として株主総会で特別決議を行う必要があります。
金融機関や郵便局への手続き
公的機関のほか、法人口座を開設している金融機関や郵便局への手続きも行いましょう。
郵便局の転居・転送サービスは、旧住所あての郵便物などを1年間無料で新住所へ転送するサービスです。移転前から申請できるため、早めに手続きしておくことをおすすめします。
取引先への通知
オフィスを移転する前に、取引先・顧客への通知も必ず行いましょう。取引先・顧客へのメールや書類には、新住所と移転日、新しい電話番号などの情報を記載します。休業期間が発生する場合はその日程も記載しましょう。
各種手続きの届出先と必要書類
ここでは前章でご紹介した手続きの届出先や必要方法をご案内します。ただし必要書類は自治体によっても異なるため、各事務所のホームページなども必ずご確認ください。
本店移転登記
本店移転登記は、オフィスの移転先が移転前と同じ法務局の管轄内か管轄外かによって、必要書類がやや異なります。
また、本店移転登記の際は、登録免許税として3万円の費用がかかります。異なる法務局の管轄地域に移転する場合は、それぞれの法務局について登録免許税3万円がかかり、合計6万円が必要となる点にご注意ください。移転した日から2週間以内に、所定の方法で手続きを完了させましょう。
手続き先 | 必要書類 | 提出のタイミング |
---|---|---|
旧住所の管轄法務局 目的:法人登記 ( オンライン・窓口・郵送にて対応可能 ) |
◆同じ法務局の管轄内に移転する場合 ・本店移転登記申請書 |
移転後2週間以内 |
税金関係
手続き先 | 必要書類 | 提出のタイミング |
---|---|---|
税務署 |
・所得税+消費税の納税地の変更に関する届出書 ・異動届出書 ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書など |
変更登記完了後速やかに |
都道府県税事務所 目的:都道府県税 |
・異動届出書(法人異動事項申告書) |
都道府県ごとに異なる |
市区町村役所・役場 目的:市区町村税 |
・異動届出書(法人異動事項申告書) ・移転完了後の登記簿謄本のコピー |
市区町村ごとに異なる |
社会保険関係
手続き先 | 必要書類 | 提出のタイミング |
---|---|---|
年⾦事務所 目的:健康保険・厚⽣年⾦ |
・健康保険+厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 ・移転完了後の登記簿謄本のコピー |
移転後5日以内 |
労働基準監督署 目的:労働保険 |
・労働保険名称、所在地等変更届 |
移転後10日以内 |
公共事業安定所 ( ハローワーク ) 目的:雇⽤保険 |
・雇用保険事業主事業所各種変更届 ・労働保険名称、所在地等変更届 |
移転後10日以内 |
銀行や郵便局
手続き先 | 必要書類 | 提出のタイミング |
---|---|---|
銀行 | ・通帳 ・届出印 ・移転完了後の登記簿謄本の原本 ・提出者の本人確認書類 など |
移転日まで |
郵便局 目的:転居・転送サービスの利用 |
・転居届 ・提出者の本人確認書類 |
移転日が分かり次第 |
オフィスの移転手続きで注意するべきポイント
実際にオフィス移転をする際は、さまざまな注意するべきポイントがあります。業務に支障をきたさず、滞りなく移転を完了させましょう。
申請期限に留意する
この記事でお伝えした手続きには、それぞれ申請期限があります。移転日から2週間以内に行う本店移転登記をはじめ、期限を守らないと行政処分や罰金が発生する可能性があるためすべての手続きを計画的に行いましょう。
早めに外部へ通知する
住所変更後に名刺や会社案内、看板、ウェブサイト上の情報なども更新する必要があります。これらの準備も移転前に進めておくと、移転後の混乱を避けることができます。
また取引先や顧客、銀行、郵便局、各種契約先などに新しい住所を通知しておきましょう。特に請求書や領収書に住所変更を反映させるため、早めに通知を行うことが求められます。
手続きに不安がある方は専門家の利用を検討しましょう
本店移転の手続きは自分で進めることもできますが、ミスや手続き漏れが心配な方は専門家に依頼すると安心です。会社の登記手続きの専門家である司法書士は、税務署への届け出や書類作成といった本店店移転に伴う手続きを正確におこなってくれます。
専門家を選ぶ際には、信頼性や費用を事前に確認し、適切なサポートを受けられるよう準備を進めましょう。
リリカラはオフィス移転を包括的にサポート
ここまでお伝えしたように、オフィス移転にかかる手続きは多く、煩雑になりがちです。そこで企業様の負担を減らすため、「オフィス移転コンサルタント」の活用もおすすめします。
オフィス移転のプロに頼ることで、抜け漏れなく手続きを済ませることができます。リリカラでは、物件探しから施工業者の選定、スケジュール管理、各種手続きのフォローまで、オフィス移転を総合的に支援しています。
オフィス移転の流れ
オフィス移転を計画している場合は、あらかじめ移転の流れを把握しておくとスムーズです。ここではオフィス移転の一連の流れをご紹介します。

解約通知
賃貸オフィスの場合は引っ越す前に、まずオーナーに対して契約更新しない旨を通知(解約通知)します。一般的に、本店移転の6か月前までに解約通知をしなければなりません。この時期以降に解約通知をした場合は、違約金が発生することがあるため、契約内容をよくご確認ください。
またこの段階で、オフィスの原状回復についてもあわせて確認しておきましょう。
新オフィスの物件探し・レイアウト決定
移転が決まったら、新オフィスにふさわしい物件を探します。また、物件の面積や従業員の人数などを考慮し、快適なオフィスレイアウトを決めましょう。
引っ越し業者・原状回復工事業者の選定
オフィスの引っ越しを任せる業者と、旧オフィスの原状回復工事の業者を選定します。複数の業者を比較し、信頼できるところに依頼してください。
荷造り
引っ越し業者や日程が具体的に決まったら、従業員にも協力してもらい荷造りをします。各自の荷物を取り違えたり、精密機器が壊れたりしないよう、細心の注意を払いましょう。
旧オフィスの原状回復
新オフィスに移転後、旧オフィスの原状回復工事を行います。工事が必要な場所や程度について、旧オフィスのオーナーに確認してから進めてください。
荷物の開封・電話やネットの整備
各従業員にアナウンスしてなるべく早く梱包を解き、仕事ができる状態にしましょう。また、電話やインターネットをすぐに使えるよう、配線や設定を行います。業者を手配しておくと安心です。
各種手続きや届出
本店移転を行ったら、法務局をはじめとする各機関へ届出が必要です。各手続きに必要な書類を作成し、必ず期限内に申請しましょう。
オフィスを移転した際は、登記手続きをはじめとした多くの届出が必要となります。あらかじめ必要な手続きの種類や概要を知っておけば、スムーズに移転ができるでしょう。
企業の住所変更は計画性が大事
新オフィスへ引っ越しをしたら、法務局や税務署、年⾦事務所、金融機関などに対し、それぞれ手続きをしなければなりません。社内で管理する場合は細かくスケジュールを立て、全ての手続きを忘れずに済ませましょう。
しかし、オフィス移転のタスクは非常に多いため手が回らない場合もあるでしょう。そんなときはリリカラにお任せください。移転スケジュールや予算に合わせて最適なサービスをご提供します。