業務効率や働きやすさを高めるうえで大切になるのが、固定席・フリーアドレス・グループアドレスといった「座席スタイル」の選び方です。このコラムでは、3つのスタイルの特徴を整理し、それぞれのメリット・デメリットを比べながら、自分たちの会社に合った形を考えるためのヒントをまとめました。
さらに、導入までのプロセスを6つのステップで紹介します。「今のオフィスをより良くしたい」と考える皆さんの、検討の進め方を整理するためのヒントとしてお役立てください。

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固定席・フリーアドレス・グループアドレスの違いとは?
オフィスにおける座席スタイルは、大きく分けて以下の3つの運用方法に分類されます。各スタイルが適する部署の傾向も紹介するので、自社にぴったりの働き方を見つけるためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
< 主要3タイプを比較:オフィス座席レイアウトの基本パターン >
固定席とは

固定席は、従業員一人ひとりに専用のデスク設ける座席スタイルです。デスクまわりを自分仕様に最適化できるため、個人の業務に集中しやすい環境をつくりやすいのが特徴です。常に同じメンバーが隣り合うことでチーム内の情報共有や連携もスムーズになり、日常的に出社する職種に適しています。
(適している職種)総務や人事などの管理部門 など
フリーアドレスとは
フリーアドレスは、オフィスで決まった席を設けず、空いている席を自由に選ぶスタイルです。席の稼働率を高めてオフィスコストを削減できるほか、部署の垣根を超えた偶発的な交流が生まれやすいのが魅力です。外出や打ち合わせが多く、常に席にいる必要のない職種と相性が良いといえます。
(適している職種)営業職や企画・マーケティング職、コンサルタント など

グループアドレスとは

グループアドレスは、部署やチームごとに指定されたエリア内で自由に席を選ぶスタイルです。固定席の安定性とフリーアドレスの柔軟性を兼ね備えており、対面業務と内勤が混在する組織と非常に相性が良いことが特徴です。
チーム内の連携を維持しつつ適度な自由度を得られるため、近年ではフリーアドレス本格導入前の「試験運用」として採用する企業も増えています。
(適している職種)営業・開発・CS部門 など
固定席・フリーアドレス・グループアドレスのメリット・デメリット
ここからは、それぞれの座席スタイルのメリット・デメリットをより詳しく紹介します。気になる「デメリット」を解消するコツや、運用の健康診断ともいえるKPI(評価指標)についても分かりやすく解説します。自社にぴったりの形を見つけるためのヒントとして、ぜひ読み進めてみてください。
| 固定席 | フリーアドレス | グループアドレス | |
|---|---|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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固定席
(メリット)
- 集中力を高められる
- セキュリティを確保しやすい
- チームの一体感・連携がとりやすい
(デメリット)
- スペースの無駄が発生しやすい
- 組織変更への対応コストがかかる
- 多様なコミュニケーションが生まれにくい
フリーアドレス
(メリット)
- スペースの効率化によりコストを削減できる
- 柔軟な働き方を実現できる
- オフィスレイアウトを見直しやすい
(デメリット)
- 環境によっては、作業に集中しづらい
- チーム内でのやり取りが生まれにくくなる
- 運用ルールやオフィス環境の変化に慣れるまで、時間がかかる
グループアドレス
(メリット)
- チームの相談がスムーズで、連携が深まる
- 業務に合わせた運用ができる
- 組織の変化や人数の増減に柔軟に対応
(デメリット)
- 他部署との交流が減り、横のつながりが作りにくい
- 特定のエリアだけが混雑する場合がある
固定席:業務の安定性とプライバシー確保に強み
固定席のメリットは、運用ルールがシンプルで管理しやすい点にあります。座席の割り当てが明確なため、備品管理やIT機器の設置、セキュリティ対策を標準化しやすく、オフィス全体を安定して運用しやすいのが特長です。席の所在が固定されていることで、問い合わせ対応や業務の引き継ぎもスムーズに行えます。
一方で、出社率が下がると空席が増えやすく、スペースを有効に活用しにくい点はデメリットといえます。席が固定されることで部署を越えたコミュニケーションが生まれにくく、組織変更や人員増減の際にレイアウト調整が必要になるなど、運用面での課題もあります。
そのため、座席稼働率や従業員満足度などのKPIを継続的に可視化し、実態を把握しながら改善を重ねていくことが、固定席を効果的に活かすための重要なポイントとなります。
フリーアドレス:社内コミュニケーションの活性化とスペース効率化
フリーアドレスのメリットは、出社人数に応じて座席数やレイアウトを調整しやすく、スペース効率を高められる点にあります。空席を抑えやすく、オフィス面積の最適化やコスト削減につなげやすいのが特長です。
運用面では、環境によって集中しづらく感じることがあり、席が分散することでチーム内のやり取りが生まれにくくなる場合もあります。また、運用ルールやオフィス環境の変化に慣れるまでに時間がかかる点も考慮が必要です。
円滑な運用のために、エリア利用率や滞在時間などのKPIを定期的に可視化し、ルールが形骸化していないか確認しましょう。実態を把握することで、改善策の効果を測定し、次のアクションにつなげやすくなります。
グループアドレス:チームの連帯感と柔軟な働き方を両立
グループアドレスのメリットは、チーム単位で座席を共有することで相談や情報共有がしやすく、連携を深めやすい点にあります。業務内容に合わせてエリア内の使い方を調整できるほか、固定席ほど厳密な割り当てが不要なため、組織の変化や人数の増減にも柔軟に対応しやすいのが特長です。
一方で、チームごとにエリアが分かれることで他部署との交流が減り、横のつながりが生まれにくくなる場合があります。また、時期や業務状況によっては特定のエリアに人が集中し、混雑を感じることもあります。
運用のコツは、エリアの稼働率や利用の偏りを定期的にチェックすることです。組織の動きに合わせてレイアウトを最適化することで、混雑の緩和やエリア配分の改善につなげやすくなります。
導入の6ステップ
最適な座席スタイルを検討し、導入するまでの進め方を、6つのステップでわかりやすくまとめています。
【座席スタイル導入の6ステップ】
1. 導入目的の整理とKPI設計
まずは「何のために新しいオフィスにするのか」という目的をはっきりさせましょう。会社のビジョンや目標から考えてみると、目指したい姿や自分たちにぴったりの座席スタイルが見つかりやすくなります。
目的が決まったら、運用の成果を測るためのKPIを設定します。先ほど紹介した指標などを参考に、自社に合った目標を立てることで、導入した後の「良かった点」や「これからの課題」をしっかり振り返ることができるようになります。
(KPI設定項目)コスト削減率、席稼働率、従業員満足度(eNPS) など
2. 勤務実態の分析と要件定義
次に、職種ごとの働き方を詳しく見ていきましょう。この分析は、スペースを効率よく使うためだけでなく、一人ひとりの働きやすさを高めるためにとても大切なステップです。
具体的には、職種ごとに「会議の多さ」「荷物の量」「扱う情報の機密度」などを調査します。たとえば、打ち合わせが多いチームはグループアドレス、機密情報を扱うチームは固定席、といった判断がスムーズになります。また、荷物が多い職種には専用ロッカーを用意するなど、それぞれの仕事の進め方に寄り添った環境を整えていきましょう。
3. 座席戦略の策定
続いて、どの部署にどの座席スタイルを取り入れるか、具体的な計画を立てていきましょう。オフィス全体の広さを考えながら、固定席やフリーアドレスなどの配分をバランスよく検討していきます。
ポイントは、部署同士のつながりや、どんな配置なら仕事がはかどるかという視点を持つことです。実際の図面を見ながら「ここは集中するエリア」「ここは交流するスペース」といったゾーニングを行い、デスクの数や動線を決めていきます。日々の動きにフィットするエリア構成を描くことが、使い心地のよいオフィスにするための鍵となります。
4. 運用ルール・IT基盤の構築
新しい座席スタイルを定着させるためには、日々のルール作りと、それを支えるIT環境の整備が欠かせません。
まずは、デスクの使い方や片付け(クリーンデスク)の決まりなど、誰もが迷わず動けるためのガイドラインを用意しましょう。あわせて、便利なITツールの活用も効果的です。たとえば、座席予約システムを使えば席探しの手間が省けますし、入退室管理と連携すれば出社状況の把握もスムーズになります。また、PCや周辺機器などのIT資産もしっかり管理できる仕組みを整えておくことで、セキュリティ面でも安心な、使い勝手の良いオフィス環境がつくれます。
オフィスづくりのポイント
ITを活用した情報収集や分析の仕組みを整えておくのも、大切なポイントです。フリーアドレスなどは「人の動き」が見えにくくなりがちですが、システムで管理することで運用の質がぐっと高まります。デジタルを前提にした仕組みづくりが、結果として毎日のスムーズな働き方を支えてくれます。
5. レイアウト設計と実装
具体的なレイアウトやルールが固まったら、まずは一部の部署でテスト運用をしてみるのがおすすめです。アンケートや日々の現場で交わされる率直な意見を聞くことで、実際に使ってみて初めてわかる「便利さ」や「ちょっとした不便さ」が見えてきます。
また、座席予約システムを使っている場合は、蓄積されたログデータが客観的な判断材料になります。どの席がいつ使われているかをデータで確認したり、混雑状況をパッと見てわかる「ヒートマップ」で分析したりすることで、より使いやすいレイアウトへと改善するヒントが見つかりやすくなります。
6. 運用検証と継続的な改善
座席システムの運用が始まったら、数ヶ月ごとに利用状況を振り返る時間を作りましょう。まずはデスクの使用率を確認し、実際の働き方とレイアウトにズレがないか、あまり使われていないスペースがないかを丁寧に確かめていきます。
あわせて、従業員の声をアンケートなどで集め、それをもとに運用ルールを柔軟に見直していくことも大切です。現場の意見を反映させることで、より使いやすく、組織に馴染む仕組みへと育っていきます。こうした小さな改善を積み重ねていくことが、心地よいオフィス環境と活気ある組織づくりにつながります。
運用体制と必要リソース
座席スタイルを安定して運用するためには、リソースの準備も欠かせません。
まずは、社内の意思統一を図る「人」の力です。導入にあたっては、検討段階から現場を巻き込み、制度の理解を広めながら、新しい環境への適応を丁寧にサポートしていく体制が求められます。あわせて、予算とのバランスを見ながら最適な「設備」を整えることも重要です。目的に合わせて必要な機能を選定し、ハードとソフトの両面から支えることで、スムーズな運用へとつながります。

円滑な運用を支える人的体制
新しい仕組みへの移行にあたって、大がかりな体制を用意する必要はありません。最低限の役割分担を決めておくだけで、日々の運用はぐっとスムーズになります。
具体的には、ルールの周知や改善案の整理を担う少人数の運用チームを、総務などの部門を中心に作るところから始めましょう。あわせて、フロア全体の利用状況を把握し、困りごとがないかを確認する担当者を1名置くだけでも、部署間の調整や問い合わせへの対応が格段にしやすくなります。さらに、有志による小規模なアンバサダー制度を取り入れるのも効果的です。無理のない範囲で協力し合う体制を整えることが、現場に寄り添った安定した運用へとつながります。
働き方に合わせた設備の準備
フリーアドレスやグループアドレスを導入する際は、まず「集中ブース」や「交流スペース」など、目的に合わせたエリアを整えましょう。仕事の内容に合わせて場所を選べる環境が、一人ひとりのパフォーマンスを支えます。
あわせて、デスク周りの設備も重要です。ノートPCをつなげるモニターや電源、充電環境など、日々の使い勝手に直結する部分は早い段階で検討しておきましょう。また、自由に席を選ぶスタイルでは、個人の荷物を置けるロッカーの確保も基本となります。持ち運びに便利な専用バッグなども活用しながら、移動のストレスを減らし、どこにいても快適に働ける環境づくりを進めていきましょう。
業務別座席レイアウトパターンと事例
ここでは、業種や業務の進め方に合わせた、最適な座席配置のパターンをご紹介します。
自分たちにぴったりのレイアウトは、オフィスに求める効果や仕事内容によって変わるものです。それぞれの特長やメリットを比べながら、チームが一番スムーズに働ける形を見つけていきましょう。
【3つのオフィスレイアウト設計パターン】
集中重視型:静音環境をつくるデスク配置の工夫
セキュリティ重視型:業務特性に合わせた空間設計のポイント
ハイブリッド勤務型:個人と協働を切り替えやすいレイアウト設計
集中重視型:静音環境をつくるデスク配置の工夫
集中重視型は、開発や研究部門のように個人の作業時間が長い業務に適したレイアウトです。周囲の音や視線を抑え、業務に没頭できる環境をつくることがポイントになります。
具体的な配置としては、背中合わせで座る「背面型」や、一人ひとりの空間を確保する「ブース型」が代表的です。背面型ではパーティションを活用して視線を程よく遮り、ブース型では周囲の影響を最小限に抑える専用スペースを設けます。このように静かな環境をしっかり確保することで、作業効率の向上を後押しします。
コラボ重視型:部門を越えた会話を生む配置
営業部門や企画部門など、部署を超えた交流が多い組織には「コラボ重視型」のレイアウトが適しています。窓際のカフェ席や空きスペースへのスタンディング席の導入により、自然と会話が生まれる仕掛けをつくることがポイントです。
デスク配置では、V字型にデスクを並べる「ブーメラン型」が効果的です。この形は、横並びよりも相手と話しやすく、それでいて視線が適度に分散されるため個人の作業にも集中しやすいという特長があります。チームでの連携と個人ワークをバランスよく両立させたい場合にぴったりのスタイルです。



セキュリティ重視型:業務特性に合わせた空間設計のポイント
機密性の高い情報を扱う法務や人事、コンサルティング部門には、情報の安全性を最優先した「セキュリティ重視型」のレイアウトが適しています。
まず、物理的な情報漏洩を防ぐため、認証システムや監視カメラを備えた「セキュアルーム」の設置が欠かせません。あわせて、執務エリアとは別に来客専用の応接スペースを設け、外部の人が内部の資料を目にすることのないよう、受付からの動線を明確に分離することが重要です。
デスク配置には、画面を覗き見されるリスクを抑える「背面型」が向いています。基本を固定席とし、高さのあるパーティションで仕切ることで、情報の安全を守りながら落ち着いて業務に取り組める環境が整います。
ハイブリッド勤務型:個人と協働を切り替えやすいレイアウト設計
ハイブリッドワークを導入しているオフィスでは、出社と在宅の両立に対応できる、柔軟なレイアウトと設備が求められます。
特にオンライン会議が日常的に発生するため、通話品質とプライバシーを確保できる「専用ブース」の設置は欠かせません。デスク配置には、座席と動線を十字に組む「クロス型(卍型)」や、視線を適度にかわせる「ブーメラン型」が適しています。
これらのレイアウトは、周囲との程よい距離感を保ちつつ、個人ワークとチームでの交流をスムーズに切り替えられるのが特徴です。フリーアドレスなどを活用し、その日の業務内容に合わせて席を使い分けることで、より効率的な働き方が実現します。



まとめ
代表的な3つの座席スタイルには、それぞれ異なる特長があります。
まず「固定席」は個々の専用席を割り当てるスタイルで、常時出社する部署に適した安定感が魅力です。「フリーアドレス」は席を自由に選ぶ運用で、ハイブリッド勤務との相性が良く、交流の活性化が期待できます。そして「グループアドレス」は、エリア内で自由に座ることで、部門内の連携と柔軟性を両立できます。
どのスタイルが絶対的に優れているわけではなく、大切なのは自社の働き方や組織特性に照らし、成果につながる形を見極めることです。導入目的を明確にし、テスト運用やリソースの検討を通して、最適な形を選びましょう。
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