皆さんが思い浮かべる「正しい姿勢」とは、どのような座り方でしょうか。
背筋を伸ばしてまっすぐ座る姿を想像しがちですが、オフィスワークにおける本当の正しい姿勢とは、見た目のきれいさよりも、体に余計な負担をかけずに仕事を続けられる状態を指します。
そして、その状態は本人の意識だけでは維持できません。デスクやチェア、モニター配置、レイアウト設計が合っていなければ、移転やレイアウト変更のあとでも肩こりや腰痛、目の疲れ、Web会議疲れ、集中力低下を招きやすくなります。
本記事では、デスクワークで正しい姿勢をつくる基本から、姿勢を崩しやすい原因、オフィス改善の具体策、さらに移転やレイアウト変更時に押さえたい視点までをわかりやすく解説します。
自社のオフィス環境を見直す際の判断材料として活用し、従業員が健康で快適に働ける空間づくりに役立ててください。
自社に合ったオフィス環境の作り方がわかる!
業務内容や働き方に合わせて環境を選ぶことが、正しい姿勢の維持と生産性向上の第一歩です。自社に適したオフィスタイプを整理できるガイド資料をご用意しました。
目次
正しい姿勢がオフィスワークで重要な理由
正しい姿勢を維持することは、従業員の健康障害を防ぎ、業務の生産性や集中力を高く保つために不可欠です。それぞれの理由について詳しく確認していきましょう。

肩こりや腰痛などの不調を防ぐ
姿勢が崩れると、首や肩、腰の特定の筋肉に過度な負担がかかり続けます。
これが血行不良を引き起こし、肩こりや腰痛の慢性化につながります。痛みを抱えた状態では業務効率が著しく低下するため、身体的負担を和らげる姿勢づくりが求められます。
集中力とパフォーマンスの向上
正しい姿勢を保つことで胸が開きやすくなり、自然と呼吸が深くなります。
脳に十分な酸素が行き渡ることで、長時間の作業でも集中力が途切れにくくなります。結果として、ミスが減り全体のパフォーマンス向上に寄与します。
Web会議疲れの軽減
近年増加しているWeb会議では、画面を凝視するため画面に顔を近づける前傾姿勢になりがちです。
正しい姿勢で適切な距離を保つことで、目の疲れや首への負担が軽減され、連続するオンラインミーティングによる疲労を最小限に抑えることができます。
デスクワークで正しい姿勢をつくる基本
体格に合ったデスクとチェアを選び、関節の角度や目線を適切な位置に調整することが、正しい姿勢の基本です。具体的に押さえるべきポイントを順番に見ていきます。
肘と膝の角度は約90〜100度に保つ
キーボードを操作する際、肘が自然に90〜100度に曲がる高さが理想的です。また、椅子に深く腰掛けたときに膝裏が圧迫されず、膝の角度も90〜100度になるように座面の高さを調整してみましょう。

足の裏を床にしっかりとつける
足が宙に浮いていたり、つま先立ちになっていたりすると、太ももや腰に余計な力が入り姿勢が崩れやすくなります。足の裏全体が床にしっかりとつくように椅子の高さを合わせることが重要です。
モニターは目線よりやや下で40〜70cm離す
ディスプレイの最上部が目線と同じか、やや下になるように高さを設定します。画面と目の距離は40〜70cm程度離すことで、目のピント調節にかかる負担を減らし、首が前に出るストレートネックを防ぐことができます。
ノートPCを常用する場合は、スタンドに載せることで画面位置を調整しやすくなります。なお、情報機器作業に関する厚生労働省のガイドラインでも、自然で無理のない姿勢となるよう、椅子やディスプレイ位置などを総合的に調整することが示されています。(参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」)
| 項目 | 目安 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 肘の角度 | 約90〜100度 | 肩が上がらず、手首が反りすぎていないか |
| 膝の角度 | 約90〜100度 | 足裏が床につき、太ももの裏が圧迫されていないか |
| 画面との距離 | 40〜70cm | 顔を前に突き出さず、自然な視線で見られるか |
| デスク高さ | 一般的には72cm前後 | 体格やチェアとの組み合わせで無理が出ていないか |
正しい姿勢を崩しやすいオフィス環境の原因
ノートPCの多用や、体格に合わない共有家具の利用が、無意識のうちに姿勢を崩す大きな要因となっています。オフィス内に潜む主な原因を整理していきましょう。
ノートPC中心の業務スタイルとWeb会議の増加
ノートPCの利用が増えたことにより、画面位置の低さからのぞき込む姿勢になりやすく、首や肩に負担がかかる場面が増えています。また、キーボードが薄くフラットなため、机面との組み合わせによっては手首が反りやすい、タイピング時に疲れや負荷が生じやすいといった点にも注意が必要です。さらにWeb会議が続くと、前傾姿勢が長引き、首や肩の疲れが蓄積しやすくなります。
外部モニターを接続する場合は、正面の見やすい位置に置く画面を主画面、補助的に見る画面をサブ画面と分けるのが基本です。外部モニターを主画面、ノートPCを資料確認やチャット用のサブ画面にすると、無駄な視線移動を抑えやすくなります。
フリーアドレスや共有席での調整不足
フリーアドレス制のオフィスでは、座る場所が毎日変わります。その都度、自分に合わせてチェアやモニターの高さを調整する手間を省いてしまうと、体に合わない状態での作業が常態化し、姿勢の悪化を招きます。
一般的なデスク高(72cm)と体格のミスマッチ
日本のオフィスデスクは高さ72cmが標準的な目安とされており、日本オフィス家具協会(JOIFA)でも72cm(720mm)が推奨されています(参考:JOIFA「安全・快適なデスクの選び方」)。
ただし、この高さはすべての人に最適とは限りません。机が高すぎると肩がすくんだ状態になり、逆に低すぎると猫背になりやすいため、画一的なデスク環境は姿勢を崩す原因になります。
正しい姿勢を維持しやすいオフィス改善策
調整機能の豊富な家具やサポートアイテムを導入し、働く場所を柔軟に選べる環境を整えることが効果的です。すぐに取り入れられる具体的な対策をご紹介します。
調整しやすい高機能チェアと昇降式デスクの導入
座面の高さや奥行き、肘掛けの位置を細かく調整できるチェアを選ぶことが第一歩です。さらに、高さを自由に変えられる昇降式デスクを導入すれば、立ったり座ったりと姿勢を変えながら働くことができ、身体への負担を分散させることができます。

モニターアームやノートPCスタンドの活用
ノートPC使用時の姿勢悪化を防ぐため、ノートPCスタンドを利用して画面の高さを調整しましょう。スタンドによって画面位置を見直すことで、首や肩の負担軽減につながります。
一方で、ノートPC本体のキーボードをそのまま使う場合は、角度のつけ方によって手首に負担がかかることもあるため注意が必要です。あわせて、手首の当たりをやわらげるリストレストの活用も検討するとよいでしょう。モニターアームを活用すれば、机の上のスペースも広く使えます。
姿勢変化を促すレイアウトと運用ルール
長時間同じ姿勢でいること自体が体への負担になります。集中作業用のブース、リラックスできるソファ席、スタンディングミーティング用のハイテーブルなど、業務に合わせて場所を変えられるレイアウトを採用し、定期的に姿勢を変えることを促す運用ルールを作りましょう。
オフィス移転・レイアウト変更で姿勢改善を進めるポイント
移転やレイアウト変更は、家具の選定からICT環境、空間設計までを一体で考え、姿勢改善を根本から進める絶好の機会です。プロジェクトを成功に導くためのポイントを解説します。
従業員の働き方と課題の可視化
まず、現状のオフィスで従業員が抱えている身体的な不満や、業務上の課題をアンケートなどで把握します。ノートPCの周辺環境や、Web会議の多さなどの実態を数値化することで、優先すべき環境改善の方向性が明確になります。
家具・ICT・空間設計のトータルコーディネート
姿勢を良くするための椅子だけを買っても、机の高さやパソコンの配置が合っていなければ期待通りの効果が得られません。
内装のデザインから、適切な家具の選定、モニターや配線などのICT環境までを総合的に設計することが重要です。全体を俯瞰してコーディネートすることで、統一感があり働きやすい空間が実現します。
導入後の運用ルールの策定と定期点検
新しいオフィスが完成した後も、正しい姿勢を保つための椅子の調整方法を社内に周知することが大切です。また、定期的に職場環境の確認を行い、必要に応じてフットレスト(足置き)を追加するなど、状況に合わせた微調整を継続できる仕組みづくりが重要になってきます。
まとめ:正しい姿勢は個人の意識とオフィス環境の両方で整える
正しい姿勢は、本人の心がけだけで維持できるものではありません。身体にフィットした家具や、適切なPC環境の配置があってこそ実現します。とくに総務や移転担当者にとっては、個人の努力に任せず、環境面から整える発想が欠かせません。
オフィス環境を整えることは、従業員の健康を守るだけでなく、集中しやすさやコミュニケーションの質を高め、結果として企業の生産性向上にもつながります。オフィス移転やレイアウト変更の際には、ぜひ「姿勢改善」を一つの判断軸として取り入れてみてください。
- 体格に合った高さ調整
デスクとチェアのバランスを見直し、肘や膝が約90度になるように調整する - モニター位置の最適化
目線を下げすぎず、画面から40〜70cmの適切な距離を確保する - サポートアイテムの活用
ノートPCスタンドやリストレスト、フットレストなどを取り入れ、体への負担を調整する - 姿勢を変える働き方
昇降式デスクや多様なワークスペースを用意し、長時間の同一姿勢を防ぐ - 空間全体のトータル設計
オフィス移転時は、家具・ICT・レイアウトを一体として計画する
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