リモートワークが普及するにしたがって、会議室を増やす企業が増えています。
会議室のレイアウトを決定する際は、テーブル(デスク)やチェアの並べ方、必要となる寸法、内装といったさまざまな要素を考慮する必要があります。
この記事では、会議室の標準的なレイアウトやデザインを考える時のポイントを解説します。ぜひ快適なオフィスづくりの参考にしましょう。

リリカラが手掛けたオフィスのデザイン事例をご紹介します!
目次
代表的な会議室レイアウトの種類
まず、一般的によく見られる会議室のレイアウトを種類別にご紹介します。

対⾯形式
参加者が二手に分かれてそれぞれ横一列に座り、長方形のテーブルを挟んで向かい合う形式です。お互いのチームの顔を見合わせながら、話し合いができます。
対面形式は、取引先企業との打ち合わせや、2つの部署によるディスカッションなど、立場の異なるグループで話し合う場合に適しています。
ただし、端と端の距離が空いてしまうため、大人数での会議には向いていません。
コの字形式
テーブル・チェアをカタカナの「コ」の字に並べる形式です。
「コ」の字の空いたスペースにモニターやホワイトボードを設置でき、プレゼンテーションや業務報告を行う際に向いている形式です。
しかし、「コ」の字の中がデッドスペースとなるので、比較的広い会議室が必要となります。また、大人数での会議には向きません。
ロの字形式
テーブル・チェアをカタカナの「ロ」の字に並べる形式です。参加者同士が顔を見やすく、意見交換をしやすいレイアウトとされています。
そのため、重役会議や有識者会議などフォーマルな場で用いられることが多いようです。
「コ」の字形式と同じく、「ロ」の字の中の部分はデッドスペースとなるため、ある程度の広さが必要です。
島型形式
広めの会議室に複数のテーブルを等間隔に配置し、各テーブルに4~6人ほどが着席する形式です。少人数のグループを作れるため、1人ひとりが意見を出しやすいレイアウトといえます。
島型形式は、グループディスカッションやブレインストーミング、また従業員同士の親睦を深めたいときなどに向いています。
一方で、グループごとにテーブルが分かれるため、全員で話し合いをする場合には向いていません。
スクール形式
学校の教室のように、すべてのテーブルとチェアを正面に向けて並べる形式です。1人用のテーブルを用意するケースや、長机を2~3人で共有するケースがあります。正面にスクリーンやホワイトボードを設置する場合も多いでしょう。
正面に立つ人へと注目を集めやすいため、セミナーや社員研修、勉強会などに向いています。
ただし、参加者同士が向き合うことは難しいため、ディスカッションや意見交換には不向きといえます。
シアター形式
スクール形式と同様にすべてのチェアを正面に向けて配置しますが、シアター形式ではテーブルを使いません。
テーブルがない分、省スペースで大人数を入れることができ、入社式や成果発表会、パネルディスカッションなどに向いているレイアウトです。
しかし、テーブルがなくメモを取りにくいことがデメリットです。筆記が必要な場合は、バインダーを配布する、メモ台付きチェアを導入するなど、別途対応しましょう。
会議室に適したレイアウト・寸法
人数別におすすめのレイアウト形式や必要な寸法の目安を分かりやすくご紹介します。
10人以内の場合
10人以内の会議室には、「用途」と「会話のしやすさ」「空間の広さ」に応じたレイアウトが重要です。一般的な打ち合わせなら対面式、フラットな議論なら円卓、資料共有が中心ならU字型、カジュアルなやりとりには丸テーブル+スツールのように、目的に応じてレイアウトを選ぶことで、会議の生産性が大きく変わります。
人数 | 必要面積(目安) | 部屋の寸法(例) |
---|---|---|
4人 | 約8㎡前後 | 2,550mm × 3,100mm |
6人 | 約10㎡前後 | 2,700mm × 3,700mm |
8人 | 約15㎡前後 | 3,600mm × 4,300mm |
10~29人以内の場合
10~30人の会議室では、「対話重視か・講義型か・グループワークか」など、会議の目的に応じたレイアウト選びが重要です。さらに、快適に使えるためには1人あたり1.5〜2㎡のスペースを確保し、通路や配線、備品配置も含めてレイアウトを考えると、より実用的な空間になります。
人数 | 必要面積(目安) | 部屋の寸法例(例) |
---|---|---|
12人 | 約19㎡前後 | 3,600mm × 5,500mm |
18人 | 約30㎡前後 | 5,170mm × 6,000mm |
24人 | 約40㎡前後 | 6,000mm × 6,900mm |
30人の場合
30人以上の会議室は、「情報の一方向伝達」か「参加者同士の対話」かを明確にしてレイアウトを選ぶことがポイントです。また、快適な動線や視認性、音響・映像設備も重要になります。
人数 | 必要面積(目安) | 部屋の寸法例(例) |
---|---|---|
30人 | 約50㎡前後 | 6,000mm × 8,700mm |
会議室のレイアウトを考える時のポイント
ここでは、会議室のレイアウトを考える際に考慮すべきポイントをお伝えします。
使用人数に合わせて寸法を決める
まずは会議の参加人数を把握し、人数に合った寸法を確認しましょう。
おおまかな寸法でいうと、4~6人ほどの小規模な会議では、6平方メートル以上が必要です。10人前後の中規模な会議では、24~30平方メートルが理想的でしょう。
30人以上が参加する大規模な会議では、120平方メートル以上が必要とされます。

防⾳対策をする
会議の質を上げるため、また情報漏洩や他の従業員の生産性を保つためにも、会議室の防音対策は重要です。
室外からの音を遮断することで、集中して会議を進めることができます。また、会議の場では、社外秘の内容を話し合うことも多いでしょう。そのほか、会議室から漏れる音が気になってしまう従業員もいます。
これらの要素に配慮し、会議室の空間づくりをしてみてください。
目的に合ったオフィス家具を選ぶ
会議室ではテーブルやチェアなどのオフィス家具を使用します。会議の目的に応じたテーブルやチェアを導入することも、快適な会議室づくりのポイントです。
会議用のテーブルとチェアには、主に以下のような種類があります。
テーブル
据え置きタイプ
可動式・折り畳み式
あまりレイアウト変更をしない場合
(写真:KOKUYO WT-400)
頻繁にレイアウト変更をする場合
(写真:ITOKI Slent)
チェア
スタッキング不可
スタッキング式
機能性やデザイン性を重視したい場合
(写真:OKAMURA mode)
頻繁にレイアウト変更をする場合
(写真:OKAMURA ena)
オフィス家具の寸法に注意する
会議室のレイアウトを考える際は、実際に利用する場所の寸法も考慮する必要があります。オフィス家具や通路幅には、レイアウトする際に参考となる「基準寸法」があるので、知っておきましょう。
一般的な会議室で確保すべき寸法は、それぞれ以下のようになっており、人数やレイアウト形式によって調整します。
- テーブル(1人あたり):奥行450〜600mm・幅600〜800mm
- 通路幅:900mm以上
- 肘なしミーティングチェア:600mm
- 肘付きミーティングチェア:700mm

動線を考慮する
会議室には大勢の人が集まり、移動するため動線を考慮することが大切です。具体的には下記の点を意識してレイアウトするとよいでしょう。
- 配線・コードが通路上に散らばっていないか
- 後方の席でも背後の空間に余裕があるか
- スクール形式やシアター形式の会議室の場合、発表者の前を横切らずに済むような動線になっているか
- エントランスやトイレなどの共用部への接続がスムーズか

会議室を作る際の内装デザインのポイント
理想的な会議室を作るためには、内装を工夫することも効果的です。ここでは、会議室の内装デザインの方法をご紹介します。

壁材・床材選びを工夫する
壁材・床材の色やデザイン次第で、オフィスの雰囲気を大幅に変えることが可能です。たとえば、寒色には心を落ち着かせる効果があるため、ブルー系の壁紙を採用すれば、参加者が緊張しにくい環境になります。
また、あえて壁の一面をガラス張りにすることで、オープンな空間を作ることができます。会議室のみならず、オフィス全体の開放感も増すでしょう。
照明・インテリアを考慮する
会議室を快適で機能的な空間にするためには、照明やインテリアの工夫も欠かせません。
照明は、暗すぎると眠気を誘い、明るすぎると目が疲れてしまいます。自然光に近い色温度や場合に応じた明るさに変えられるように、調光できる照明を取り入れるとよいでしょう。
また、プロジェクターやモニターに光が反射すると視認性が落ちるため、照明の配置にも気を付けてください。


サーカディアンリズム照明を採用した執務スペース(リリカラ株式会社)
さらに集中力を保ちたい場合は、サーカディアンリズム照明を取り入れることをおすすめします。サーカディアンリズム照明とは、人間の体内時計に合わせて光の色温度や明るさを変化させる照明です。朝は青白い光で覚醒を促し、夜は暖かみのある光でリラックスを誘導するという仕組みで、自動的に光環境をコントロールすることが可能です。
一方、インテリアは空間の印象を左右し、社員のモチベーションや来客への印象にも影響します。企業らしさを演出したり、目的に合った雰囲気をつくることで、より使いやすく心地よい会議室にすることができます。
ホワイトボードなどの備品を用意する
会議室を効果的に活用するためには、レイアウトだけでなく、必要な備品の種類・数・配置を計画的に整えることが大切です。具体的には下記の備品が揃っていると生産性が高まります。
- モニターやプロジェクター
- ホワイトボードやマグネット式パネル
- カメラやスピーカーフォンなどのICT備品
- 電源タップ・ケーブル類
- マーカー・付箋・模造紙などの文房具類
- 時計やタイマー
木のぬくもりを取り入れる
近年では木の素材を取り入れ、ぬくもりを意識した会議室がトレンドとなっています。
床やテーブルに木を取り入れると、柔らかい雰囲気を醸し出すことができます。参加者の緊張感が和らぐことで、意見が出やすくなったり、親睦が深まったりする効果があるでしょう。

観葉植物でリラックスできる空間に
木の素材と同様に、観葉植物を置くことでリラックス効果が期待できます。また取引先の担当者を招いた際など、ちょっとした緑があると「おしゃれなオフィス」と印象付けることも可能です。
会議室内に観葉植物を置いても良いですが、ガラス張りの壁の向こうに、会議室内から見える大きめの観葉植物を置いても同様の効果が得られます。

会議室レイアウトの最新トレンド
リモート会議対応型
リモート会議対応型会議室は、対面とリモート双方の参加者が快適にやりとりできる環境が整えられている会議室です。下記のような点が備わっていると、遠隔地とのやり取りもスムーズになります。
- ノイズキャンセリング機能やエコー除去機能等が備わった高品質な音響設備
- 参加者の顔が見やすい大型ディスプレイや高解像度の映像機器
- 参加者全員の顔がカメラに映りやすいレイアウト
- 外部の音を遮断する防音対策

レイアウト可変型スペース
レイアウト可変型スペースとは、会議やワークショップ、セミナー、ブレインストーミングなどさまざまな用途や人数に応じて、自由にレイアウトを変更できる柔軟性のある会議室のことです。固定的な机や椅子の配置に縛られず、空間を最大限に活用できるのが特徴です。

そのため会議室には、軽くて動かしやすいテーブルや重ねて収納できる、スタッキングチェアといった可動式家具がよく使われます。
さらに必要に応じて空間を仕切れる可動式パーテーションも採用されることが多いです。
カジュアル・ハドルルーム型
カジュアル・ハドルルーム型会議室とは、少人数が気軽に集まって短時間の打ち合わせやアイデア出しを行うための小規模でリラックスした空間のことです。
ソファやスツールなどリラックス感のある家具に加え、立ったままでも使いやすい家具が採用されることが多く、全体的にカジュアルなデザインが特徴です。

会議室の導入事例8選
ここからは、実際にリリカラが手掛けた会議室レイアウトの事例をご紹介します。
三菱倉庫株式会社様




三菱倉庫株式会社の会議室は、1フロアに22室を設け、それぞれ異なる印象を持たせた個性的な空間に仕上げています。赤や青を使った壁紙や抽象柄のデザインを取り入れ、壁紙・カーペット・テーブルの形や色、椅子のデザインまで細かく変化をつけました。
収容人数やテーブル形状も見直し、3〜4人用の小部屋から最大34人が利用できる大会議室まで、多様な打ち合わせに対応可能です。窓のない会議室でも閉塞感が出ないよう、廊下側をガラス張りにする工夫も。会議室名も「宝石」や「橋」の名前を付けて親しみを持たせています。
株式会社カプコン様

カプコン様では、もともといくつかの会議室やミーティングブースを設置していましたが、ラウンジ内に新しく会議室を増設。全面ガラス張りにしたことで開放感が得られ、自由な発想が生まれる空間となりました。
ラウンジ内にはこの他にも、ファミレスベンチやハイカウンターを設置し、オープンなコミュニケーションを促進。より気軽にミーティングができる工夫が詰まっています。
株式会社横浜シミズ様


来客とアルバイト従業員の出入りが多い横浜シミズ様では、約90平方メートルの会議室を計5つ完備。シアター形式や対面形式、島型形式など、目的に応じて会議室を選ぶことができます。
複数の会議室内では木のテーブル・床材・インテリアを採用し、観葉植物を取り入れました。明るい雰囲気の中、快適に話し合いができる空間となっています。
ホームネットグループ様


ホームネットグループ様の会議室は、環境配慮とデザイン性が両立されています。床には卵の殻を再利用したタイルや、CO₂排出に配慮したカーペットを採用し、壁面には自然素材を使ったクロスを使用。椅子は部品交換が可能なエコ仕様で、サインプレートやプランターにもアップサイクル素材が取り入れられています。会議室には新幹線の名称が付けられ、会議室「はやぶさ」は車体色のグリーンを基調に、落ち着きのある空間に仕上げられています。
鈴茂器工株式会社様

鈴茂器工株式会社の会議室では、モネの「睡蓮」をモチーフにした横幅3mを超える大判クロスが飾られています。絵画はキャンバスではなく、リリカラのインテリア事業部との共同制作により、特別なクロス素材に高精細でプリントされ、目地のない美しい仕上がりを実現。アートの力を取り入れた唯一無二の会議室になっています。
日産専用船株式会社様


日産専用船株式会社の会議室は、フレキシブルかつ開放的な設計が特徴のレイアウト可変型会議室です。パーテーションやカーテンによって空間を柔軟に仕切る構造を採用しており、周囲とのつながりを維持しながら、アジャイルな会議にも対応可能です。
またエントランスに隣接した会議室は、ガラス張りで抜け感を演出しつつ、オフィス全体の様子が自然に見える設計となっています。
TELASA株式会社様


TELASA株式会社の会議室は、リビングにいるかのような心地よさを感じられる空間に仕上げられています。ゆったりと配置されたソファ席は、面談やインタビューなどの対話の場に最適です。
セキスイハイム不動産株式会社様

セキスイハイム不動産株式会社の会議室は、企業ロゴを大胆にあしらった壁面が特徴的です。このロゴはオンライン会議の背景としても活用可能で、会議の場に自然にブランドアイデンティティが取り入れられます。
会議室のご相談はリリカラまで
さまざまなアイデアが生まれる場所であり、企業の重要な情報も取り扱う会議室。会議室レイアウトを工夫することで、意見交換を促進したり、情報漏洩を防いだりする効果が得られます。
リリカラでは3万件以上のオフィス移転やリニューアルの実績があり、お客様のご要望に合わせて最適な会議室レイアウトを提案します。もちろん、会議室以外にオフィス全体のリニューアルや移転も承っております。ご希望のある企業さまはぜひご相談ください。

リリカラが手掛けたオフィスのデザイン事例をご紹介します!