【デザイナーインタビュー】ブランド力の高いオフィスを創り上げる方法とは?(鈴茂器工株式会社様)- コラム|オフィスデザイン・内装レイアウト設計、移転ならリリカラ株式会社

コラム

【デザイナーインタビュー】ブランド力の高いオフィスを創り上げる方法とは?(鈴茂器工株式会社様)

【デザイナーインタビュー】ブランド力の高いオフィスを創り上げる方法とは?(鈴茂器工株式会社様)

寿司ロボットのリーディングカンパニーである、鈴茂器工株式会社様(以下、同社)。同社は今後の成長に備えるべく本社移転を決定。リリカラはその新オフィスのデザインを手掛けました。「人を惹きつける」「居心地が良い」空間を追求し、さらに同社の世界観を体現するため、細部までこだわりを反映。その結果、ブランドイメージが隅々まで浸透された唯一無二のオフィスとなりました。

今回は、同社のオフィスを手掛けた、弊社デザイナーの三浦にインタビューを実施。お客様のご要望をオフィスに落とし込むまでのポイント、そしてブランド力が高いオフィスを創る方法を深掘りしました。

「オフィスのリニューアルを検討している」「魅力あるオフィスを目指している」「帰属意識・採用力を強化したい」という方はぜひご参考ください。

 

担当デザイナー
三浦 彩  Aya Miura

2020年リリカラ入社。良い空間は利用者の生活の彩りを豊かにすると考え、オフィスをメインとした空間構築に携わる。
「1日の大半を過ごす空間だからこそ、お客様に寄り添う姿勢を大切にデザインに取り組んでいます」

お客様の方針について

 

―鈴茂様の移転の経緯は?

入居されていたビルが手狭になったため、社長・総務・管理部門を中心に移転計画を進めることになりました。最初のご要望は必要な席数の確保と、同フロアに移転される関連企業との連携のしやすさ。またお客様がレイアウトにこだわりをお持ちでしたのでそちらを尊重しながらリリカラならではのご提案も加えていきました。

 

―当初から採用やブランディングは意識されていたか? 

意識されていました。新オフィスは本社として機能するため、リクルートや関連会社、他の営業所の方など様々な人が訪れることが想定されました。そのため、訪れる人を惹きつける魅力的なオフィスを目指されていました。 

また「社員にとって居心地がいい空間」を重視し、出社したくなるようなオフィスを提案してほしいという要望をいただいていました。リリカラとしては、社員にとって居心地がいい空間とは何かを考え、窓際のミーティングエリアのソファ席や、一人で集中できるカウンター席をご提案。これらを気に入っていただきレイアウトに採用しました。 

 

―レイアウトに関してどのような具体的ご要望があったか? 

社長室や会議室は「ここに配置してほしい」というゾーニングのご希望がありました。初めは法規の観点から懸念もありましたが、検証を進める中で問題がないことがわかり、お客様の希望のゾーニングを実現できることになりました。 

また、ご提案に際しお客様からマスタープランを頂いていたのですが、運用面から「この人には社長室に近い場所に居てほしい」「背後からモニターを見られないようにしたい」など特定のメンバーの配置に関するご要望も頂きました。作業に集中できる執務席と会話の弾むコミュニケーションスペースの関係性や、他拠点の社員も働けるスペースを考慮しつつ、弊社のアイディアを混ぜていく形でレイアウトを固めていきました。

 

―デザインに関するご要望はあったか ?

「白を基調とした清潔感のある美しいオフィス」という具体的なイメージを持っていてらっしゃいました。ただ、完全に白一色だと単調な空間になってしまうので、「同じ白でも異なる素材を使ってみませんか?」というご提案をしました。例えば、壁は塗装や壁紙を使用したり、造作家具にはメラミン化粧板や人工大理石を取り入れたり。さまざまな素材を組み合わせて、多様性を楽しめるようにしました。 

 

オフィスに企業イメージを落とし込む方法

―コンセプトは? 

水の流れをイメージしたコンセプトをご提案しました。水の流れから広がる波紋をイメージした円形モチーフを取り入れ、オフィス内を回遊できるレイアウトを作りたいと考えました。その一方で、お客様が元々考えてくださったレイアウトも尊重しつつ、青みがかった爽やかな水の流れの要素を組み合わせていきました。白を基調としながらもブルー系の内装材がアクセントとなる爽やかな印象のオフィスになったと思います。 

 

―「水の流れ」のアイディアはどのように生まれたか?

お米から連想し、食物が良く育つ環境には水流や水源が必要であることに着想を得ました。鈴茂様を中心に関連会社も巻き込んで実り豊かなオフィス環境になりますように、という想いを込めています。芽生えたアイディアやプロジェクト、社員同士のコミュニケーションがオフィスという水流で育ち、黄金色の実りを付けるイメージです。 

鈴茂器工株式会社様

―鈴茂さんのオフィスは印象に残りますよね、いい意味でオフィスらしくないというか 

オフィスに入ってまず目に入るのが、コミュニケーションエリアのシンボルツリーがそびえる造作テーブルです。そこが「おっ」と惹きつけられる要素になっています。エントランス近くに位置しているので他の拠点の方でもすぐに作業を始められ、反対に執務席はモニターを見られる懸念を緩和するためにエントランスから離れた場所になるようレイアウトしています。 

―デザインイメージと実用性の両立を図るうえで工夫した部分は?

内装材の選定です。元々のビルの真っ黒な床から印象を変えるために明るい色味の床材に変更しましたが、白は汚れが目立ちやすいという懸念もあります。実用性を保ちつつ明るい印象になる製品を探すのに苦労しました。 

またオフィス全体で合計7から8種類の床材を使用して貼り分けています。エントランスは真っ白な床材を使用しましたが、カーペットではなく、拭けば汚れが取れるタイルを採用。

なおオフィス内には壁を設けず、個室は元々あるテナントの壁に近づけ、執務空間を一望できるようにしています。その分エリアの境界が曖昧になるため、床を貼り分けることでそれぞれのエリアを緩やかに区切りました。例えば、集中して作業するエリアや、コミュニケーションが生まれるエリアなど、床の色や素材で各エリアが分かるようなっています。 

 

―鈴茂様のオフィスは造作家具がたくさん取り入れられています。既存家具ではなく造作家具を選択した理由は? 

お客様のブランドイメージをオフィスに落とし込むために、円形や楕円形などの曲線を描く家具を多く取り入れたかったのですが、既存家具よりも造作家具のほうが滑らかさを表現できると考えました。 

造作家具のご要望は特別いただいていませんでしたが、ブランドの世界観を体現したオフィスにするために積極的にご提案させていただきました。デザインも私が担当しましたが、打合せを重ねていく中で新オフィスにて実現したいイメージをつかむことができ、お客様の理想を叶えられるよう工夫致しました。

 

―造作家具も様々なパターンの提案を用意したか? 

そうですね。造作家具の選定では複数の素材サンプルを用意し、「この素材ならばこのような雰囲気になります」とそれぞれの印象を具体的にお伝えしました。また家具は使い勝手も大切なので、ご担当者様とも「この場所にコンセントを配置すると作業がしやすくなるかな?」など細部まで話し合いながら進めました。 

 

―その他にブランドイメージの落とし込みとしてこだわったところは?

鈴茂様はお寿司をはじめとするお米に関連した製品を製造する会社なので、室名にはお米に関連する言葉を使用し、ルームサインもお米の要素を取り入れました。特に会議室はお客様を案内する場所で、サインはお客様の目に触れる要素であるため、お米関連の会社であることが一目でわかるようにしたかったのです。小さな部分ですが、「ここもお米なのですね」とお客様と会話が生まれたらいいなと思っています。鈴茂様の代表的な製品にもお米モチーフのロゴがあるので、「実はこの商品とも関係性があります」という話が展開されれば、商談の一助になるかもしれません。 

会議室は「HATUGA(発芽)」「INAHO(稲穂)」「KOGANE(黄金)」と名付け、エントランスに近い会議室から奥の会議室に進むにつれて、「黄金色」に実ってゆくというストーリーを持たせました。初めはエントランス横の会議室で取引の話をしていた新しい取引先の方が、段々と奥の会議室に案内されて鈴茂さんとの結びつきが強くなっていく様子をイメージしています。 

執務空間ではお米をイメージした楕円形の造作テーブルを採用していただきました。こちらも会話のタネになりますし、社員の皆様の帰属意識の高まりも期待しています。 些細な所まで世界観を落とし込むことで、ブランド力が高いオフィスになると思っています。 

 

お客様との打ち合わせの進め方 

打ち合わせはどれくらい行ったか 

半年間にわたり、週に1回1時間ほどのペースで打ち合わせをしました。最初は掴みにくかったご要望も、徐々にニュアンスまで理解できるようになりました。 

社長は打ち合わせに必ずご参加くださり、加えてご担当者様も2名から4名まで同席いただきました。打ち合わせでそれぞれの意見をお伺いした上で、方向性を決定しました。 
一般的には社長が打ち合わせに参加するのは、何回かの打ち合わせの中で一回ということが多いです。本プロジェクトでは毎回打ち合わせに来ていただいたおかげで意思決定が速く、スムーズに進めることができました。 

 

―どのような準備をして打ち合わせに臨んだか ?

内装や植栽のサンプルを用意して、実際に手に取っていただきながらイメージに合うものを探していきました。植栽に関しては「社長室にはこれを置きたい」などポイントごとのご要望はありましたが、全体の提案は任せていただけることになりました。 

植栽は専門業者にお願いしました。背が高いものから低いもの、葉の形状から蔦などに至るまで様々な種類があるので、世界観に合う商品を探すことができます。メンテナンスフリーの造花を多く採用頂いていますが、枝は乾燥させた本物で葉も本物のように見えるものを使っているので、高級感があります。 

 

―打ち合わせに臨む際に工夫した点は? 

毎回の打ち合わせで、具体的な議題と決めるべき事項の優先順位を初めにお伝えするようにしていました。 

また家具をご提案する際は、1つの案のみ提示するのではなく、複数のパターンを用意。「他にも選択肢がありますが、こちらがオススメです。なぜなら〇〇だからですが、どう思われますか?」と他の選択肢と比較することで、意思決定がスムーズになります。 

鈴茂様は初めからやりたいことがはっきりと決まっていたため、そこを突き詰めて提案を進める一方で、異なるバリエーションも積極的にご提案しました。私たちの意見に柔軟にご検討いただき、実際にいくつかご採用いただきました。 

 

デザイナー・お客様の声 

―デザイナーの立場としてはしっかりとしたご希望のプランがあった方がやりやすいか? 

「完全にお任せします」という場合は、斬新なものや好きなもの、チャレンジしたいものなど、デザイナー自身の良さを生かしたご提案が可能です。一方で鈴茂器工様のようにお客様が明確なアイディアをお持ちの場合、上司や協力パートナー会社と「そのアイディアを実現するにはどうすればいいか」を話し合いをして私にはない引き出しを得ることができたので、大きな経験になりました。 

 

―お客様の反応は? 

皆様から「ありがとう」のお言葉をいただけたことは、何よりも嬉しかったです。また後日伺った際には、社内の様子や働く方々の姿を見ることができました。特に窓際のソロワークエリアやコミュニケーションスペースを活用している様子を目撃し、「あの席は人気なんですよ」というお声も聞くことができ、本当にやってよかったなと思いました。 改めて鈴茂様、そしてご協力頂いた皆様、ありがとうございました。

 

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