【注目5事例】リフレッシュスペースとは?社員の幸福度を高める方法

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働き方の多様化が進む中、社員が「心身ともに健やかに働ける環境」を整えることが、企業の大きな課題となっています。優秀な人材の確保や定着のためには、給与や福利厚生だけでなく、“職場環境そのもの”の魅力も欠かせません。

厚生労働省による労働衛生基準の改正や、健康経営の推進など、国をあげた取り組みも進む中で、オフィスに「休憩室」や「リフレッシュスペース」を設ける企業が増えています。

本コラムでは、リフレッシュスペースがもたらす効果や設計のポイントを、実際の事例を交えながら紹介します。

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データで見るリフレッシュスペースの必要性

コロナ禍を経て働き方や価値観は大きく変化し、デジタル化の加速や脱炭素化、少子高齢化など、企業を取り巻く環境はこれまでになく不透明になっています。

こうした中で注目されているのが「人的資本経営」です。人的資本経営とは、人材を“コスト”ではなく“資本”として捉え、社員一人ひとりの能力や意欲を引き出すことが、企業の持続的な成長につながるという考え方です。経済産業省もこの考えを推進しており、企業価値向上の鍵として人的資本の重要性が高まっています。

また、ESG投資の拡大や人的資本情報の開示義務化など、外部からも「人材をどう活かしているか」が問われる時代になりました。つまり今、企業には“社員が生き生きと働ける環境”を整えることが求められているのです。

「幸福度」と「生産性」の関係

社員の幸福度は生産性と深く関わっており、企業が生産性を高めるには、まず社員の幸福度に目を向けることが重要です。以下では、その根拠となる2つの調査データをご紹介します。


出勤していても本来の力を発揮できない社員が9割

2019年に行われたある調査(1)によると、出勤しているにもかかわらず、約9割の社員が何らかの心身の不調で100%のパフォーマンスを出せていないと回答しています。実際には、4人に1人(25%)が75%未満のパフォーマンス水準で勤務しており、多くの社員が十分な力を発揮できておらず、結果的に生産性に影響を及ぼしている可能性があると言えます。

1  株式会社保健同人社・株式会社ヒューマネージ「60万人のプレゼンティーズム調査研究による分析結果を発表」(日本の人事部, 2019年12月26日)


幸福度が高いほど、生産性も高い傾向

ある調査(2)によると、OECD諸国のデータにおいて「幸福度の高さ」と「労働生産性」に相関関係があることが明らかになっています。ただし、その国の文化や慣習等の別の変数が生産性と幸福度の両方に影響を与えている可能性が考えられるため、因果関係を証明するものではありませんが、社員の幸福度を高める取り組みは生産性向上につながる可能性があることが示されています。
2 ニッセイ基礎研究所 岩﨑敬子幸福度が高まると労働者の生産性は上がるのか?-大規模実験を用いた因果関係の検証:プログレスレポート-(2020年1月15日)


上記2つのデータから、社員の心身の健康や幸福度を支える取り組みは、組織の生産性向上につながる可能性があると考えられます。その一つの方法として、オフィスにリフレッシュスペースを設け、休憩やリフレッシュの時間を確保できるようにすることで、パフォーマンスの最大化が期待できます。

休憩室・リフレッシュスペース5つのメリット

ここからは、休憩室やリフレッシュスペースを充実させることによるメリットを5つご紹介します。

生産性がUPする

普段のデスクとは違う場所でしっかり休憩することで、オン・オフの切り替えができ、次の仕事への集中力が高まります。前項で紹介した調査によると、特に女性や若年層は本来のパフォーマンスを発揮できていない傾向があり、休憩環境の充実でモチベーション向上や生産性アップが期待できます。

コミュニケーションが活発になる

部門を越えたインフォーマルな会話が生まれ、社員同士の親睦を深めやすくなります。普段の業務とは異なり、リラックスした雰囲気の中でのコミュニケーションは、チームワークや一体感の醸成にもつながります。

創造性が豊かになる

普段業務上で関わりの少ない社員同士もコミュニケーションを取れる場となり、多様な視点からアイデアを得やすくなります。結果として、業務改善や新しい発想が生まれやすくなります。

社員の満足度・定着率が上がる

社員の休息時間を充実させる目的で休憩室・リフレッシュスペースを作ることで、「会社は私たちのことを考えてくれている」という意識が生じ、結果として社員の満足度や定着率が上がることも期待できます。より一層会社への貢献意識が高くなり、生産性の向上も期待できるでしょう。

ブランディングに寄与し、採用力が強化する

社員を大切にする企業姿勢を内外にアピールでき、ブランディングや採用力の向上につながります。リフレッシュスペースは会社のカラーを表現しやすく、他社との差別化も図りやすい場所です。

空間デザインを通してブランド価値を高める方法を詳しく知りたい方は、お役立ち資料「カフェスペース設計ガイド」と「企業イメージを向上させるオフィスブランディング戦略」もぜひご覧ください。

快適な休憩室・リフレッシュスペースを作るポイント

休憩室やリフレッシュスペースを設ける際の、設計・運用ポイントやアイデアをご紹介します。

運用ルールを考える

誰もが快適に利用できるよう、あらかじめ運用ルールを決めておきましょう。リフレッシュスペースを利用することで「仕事をサボっていると思われるのでは?」という不安が高まると、利用率が低くなってしまいます。そのような不安を解消するため、単なる休憩室以上の機能を持たせる(ネットワーク環境を整えたり、ライブラリーを設置するなど)と効果的です。

また執務室とは違うため、就業時間内でもインフォーマルなコミュニケーション(私語)をOKとするのは大前提。他にも利用時間に制限を設けるかや、常時飲食可能にするかなど、社員とも相談しながらルールを決めるといいでしょう。

窓辺に配置して開放的に

快適な休憩室・リフレッシュスペースのイメージ

できる限り窓辺に配置して外の景色を取り入れると、視界が広がって解放感が得られます。レイアウトの関係上、窓際に休憩室を配置できない場合は、森林イメージのグラフィックシートを壁面に貼るなどして居心地のいい雰囲気を演出しましょう。

また窓辺に配置できない場合は、執務室からの距離を考慮しましょう。執務室とリフレッシュスペースの距離が遠くなってしまうと、利用率が低くなるため要注意です。

執務エリアとデザインを変えて印象チェンジ

執務エリアとは異なるデザインのリフレッシュスペース

執務室とのデザインを一新して空間の印象を変えましょう。明るめの壁紙やリラックス効果のあるオフィス家具を選び、ヒュッゲと呼ばれる心地よい時間を過ごせるデザインがおすすめ。

また「Color(色)」「Material(素材)」「Finish(加工方法)」に配慮したCMFデザインを採用すると、より洗練された空間に仕上がります。室内の壁に、自社ブランドイメージのモチーフやアートを飾るのもいいでしょう。

ソロスペースを用意する

1人になれるソロスペース

ひとりになれる「ソロスペース」も準備しましょう。複数人でコミュニケーションが取れるテーブル席の他に、周囲を気にせず1人でくつろげる場所や仮眠を取ったりできる場所があると、よりリフレッシュすることが可能です。

半個室のようなブースを作成したり、パーテーションで仕切った仮眠スペースを作るなど、スペース応じて設置を検討してみましょう。

バイオフィリックデザインを取り入れる

バイオフィリックデザインを取り入れたカフェスペース

ホームネットグループ様の事例を見る

バイオフィリックデザインを取り入れるのもポイントです。バイオフィリックデザインとは、グリーンやアロマなどを用いて、自然を身近に感じられる環境を取り入れたデザインのこと。
快適なリフレッシュスペースを作るには欠かせず、バイオフィリックデザインを採用したオフィスでは、社員の幸福度や生産性、創造力などが向上するという結果が出ています。

具体的には緑視率(視界に入る緑の割合)を10~15%にすると、心身の疲労が軽減し、パフォーマンスがアップするという研究結果が。またBGMに小鳥のさえずりや川のせせらぎなど、自然の音を取り入れるという方法もあります。

参照:ケーリー・クーパー教授:職場の幸福を改善する方法–心の中で働く (workinmind.org)

カフェカウンターを設ける

オフィスカフェのイメージ

カフェカウンターを設けたドリンクサービスも、コミュニケーションを誘発する仕掛けとして効果的です。

家具メーカ大手のオカムラの研究結果では、滞在時間が40秒を越えるとその場にいる人同士の会話が発生する確率が高くなったという報告があります。
異なる部署の人と雑談することで、仕事上のストレスも解消され、アイディアやイノベーションが生まれるきっかけになります。

参照:オフィスづくりのコラム | カフェスペースがコミュニケーションを促し、イノベーションを生み出す | 株式会社オカムラ (okamura.co.jp)

本社と地方拠点のオフィス環境格差

ここまでリフレッシュスペースづくりのポイントを解説しましたが、本社と地域拠点とでは、オフィス環境に格差があるのが現状です。
家具メーカー大手のITOKIが発表した「WORKPLACE DATA BOOK 2023(ワークプレイス データブック)」によると、およそ85%の企業がオフィスにリフレッシュスペースを設けています。
しかし実情は本社のオフィス改善にばかり注力し、地方拠点の改善については二の次になりがち。本社と地方拠点でオフィスの環境格差が生じる原因となっています。

このようなオフィス環境の格差を防ぐためには、本社以外の拠点の環境にもしっかり目を向ける必要があるでしょう。
従業員数が少なく、拠点のスペースにも限りがあると、広々としたリフレッシュスペースを用意することが難しいケースがあります。そのような場合は、狭くても可能なかぎり社員がリラックスできる工夫が必要です。

狭いオフィスでも社員がリラックスできる工夫

広々としたリフレッシュスペースを作る余地がない、大規模な改修のための予算が取れないという場合、どのように工夫すれば社員が快適に働くことができます。

狭いオフィスのリフレッシュスペースの事例
ベンチソファと木目の家具でリラックス感を演出

執務室の他にリフレッシュスペースが作れないのであれば、リフレッシュしながら仕事ができる工夫をするといいでしょう。例えば柔らかなデザインの家具を採用して仕事中の緊張感を緩和させたり、オフィス内をシームレスにつなぎ圧迫感を感じさせないようにするなど工夫を凝らしましょう。

また、上下昇降デスクを導入すると、座り時々立ち仕事ができ、健康的かつリラックス効果が得られます。このように広いスペースや十分な予算がなくてもできることがあるので、まずは実践してみることがおすすめです。

リフレッシュスペース事例5選

リフレッシュスペースの事例をご紹介します。自社のリフレッシュスペースを作る際の参考にしてください。

昼と夜で印象が変わるリフレッシュスペース

昼と夜で印象が変わる、ウェーブロックホールディングス株式会社様のリフレッシュスペース

ウェーブロックホールディングス株式会社様の事例を見る

こちらの事例では、出社する機会が減少する中でも社員のメンタル面をカバーしたいという目的もあり、ほっと一息つけるような空間に仕上げました。カフェテリアを昼と夜で違う印象にしたのが特徴です。昼はカジュアルな印象ですが、夜はラグジュアリーな印象へと変化します。

昼と夜で印象が変わる、ウェーブロックホールディングス株式会社様のリフレッシュスペース

コロナ収束後には、このカフェテリアで飲食をしながら、社員との交流を深めたいという思いが込められています。社員同士のつながりを大切にする、同社ならではのこだわりが詰まったエリアとなっています。

バーのようなリフレッシュスペース

ビールが楽しめるバーカウンターが印象的な、サッポロ不動産開発株式会社様のリフレッシュスペース

サッポロ不動産開発株式会社様の事例を見る 

シェアエリアの中央にある半円形のカウンターデスクは、社員同士の距離を近づける効果があり、コミュニケーションが図りやすいのが魅力。カウンター内にコーヒー(ティー)サーバーや書籍を置くことで、社員の偶発的な会話を促進。生ビールサーバ付きのバー設備も備えているので、就業時間後の懇親にも活用されています。

さまざまな場面で利用できる、多機能なリフレッシュスペース

ドリップコーヒーを介したコミュニケーションが可能な、ザルトリウス・ジャパン株式会社様のリフレッシュスペース

ザルトリウス・ジャパン発株式会社様の事例を見る 

オフィスの入り口付近にある「エンゲージメント・カウンター(交流の場)」は、木目調の段差をつけたステージで楽しげな雰囲気を演出。スタイリッシュなカウンターが設置されたスペースは、普段は社員が交流したりリフレッシュする場所として、ときには全体ミーティングや外部の訪問者へ会社紹介するような場面でも活用されています。

カウンター上部のスクリーンをおろせば、本格的なミーティングも可能。ドリップコーヒーを落とす数分をあえて待ち、他の人とのコミュニケーション機会を作る工夫もされています。

車いすの方にも配慮したリフレッシュスペース

車いすの方にも配慮した、大東コーポレートサービス様のリフレッシュスペース

大東コーポレートサービス株式会社様の事例を見る 

車いすの方の利用も想定して、車いすの高さにあったテーブルを配置。
もっとも眺めの良いところに大きく設けられたリフレッシュスペースは、社員のコンディションを整えられる憩いの空間に仕上がりました。

疲労軽減+環境配慮型リフレッシュスペース

環境に配慮した間仕切りを採用した、横浜シミズ様のリフレッシュスペース

横浜シミズ株式会社様の事例を見る 

業務が深夜に及ぶこともあることから、仮眠可能な大型ソファを取り入れ、社員の疲労回復を促す場としての機能を強化させたリフレッシュルーム。
執務室とを仕切るガラスのパーティションは、ペットボトルからできた再生樹脂製。再生樹脂の中に本物のベアグラスの木の葉が挟み込まれています。

まとめ|リフレッシュスペースを充実させて社員の幸福度を上げよう

休憩室やリフレッシュスペースの整備は、働き方改革や人材定着といった経営課題にも直結します。心地よい空間づくりに取り組むことで、社員同士のつながりを深め、創造的な発想を生み出す源となり、結果として企業の魅力やブランド価値の向上にも結びつきます。また、本社だけでなく全拠点に目を向け、戦略的に空間を整えることで、社員が誇りを持って働ける環境と、持続的な企業成長の基盤を築いていきましょう。

リリカラは「はたらくをもっとゆたかに」をコンセプトに、ワークスペースを通じ企業の課題解決に向けたサービスを提供しています。最適な働き方の実現に向け、トップインタビューや部門ヒアリング、各種分析調査、空間構築まで、上流部分からサポートいたします。もちろん、思うようなスペースが取れない場合のリフレッシュ効果のあるアイディアもご提案可能です。

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監修者:塚越慎吾の写真

オフィスソリューション営業部 シニアディレクター
塚越 慎吾 Shingo Tsukakoshi

2019年よりリリカラ株式会社へ入社。リリカラ入社前は日本最大のオフィス家具メーカーである株式会社オカムラで36年の営業経験を積む。蓄積された知見を活かし、現在も多くの企業のオフィス移転・リニューアルプロジェクトに携わっている。

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