【事例に学ぶ】オフィスにカフェを取り入れる方法

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働き方改革や社員のエンゲージメント向上が求められる今、オフィス内にカフェスペースを設ける企業が増えています。単なる休憩場所としてだけでなく、社員同士のコミュニケーション促進やリフレッシュ、さらには創造性を高める場としても注目されています。

本記事では、オフィスカフェの種類や活用方法、設置のポイントから運用ルールまで幅広く解説します。実践的なノウハウをまとめた「戦略的カフェスペース設計ガイド」も併せてご覧ください。

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オフィスカフェとは

オフィスカフェとは、企業のオフィス内に設けられたカフェ風の空間を指します。コーヒーなどのドリンクを提供するカウンターや、木目調の家具、温かみのある照明など、落ち着いた雰囲気で構成されており、「ラウンジ」や「カフェスペース」と呼ばれることもあります。

「休憩室」や「給湯室」との違い

従来の「休憩室」や「給湯室」とは異なり、オフィスカフェは、社員がリラックスできる場でありながら、自然なコミュニケーションやちょっとした打ち合わせ、個人作業の場としても活用される空間です。

こうした多目的な使われ方から、近年では「ただの休憩スペース」ではなく、社員の働きやすさや組織の活性化を支える戦略的な空間として、多くの企業がその価値を見直しています。

オフィスカフェの種類

オフィスカフェには、目的や利用シーンに応じた3つのタイプがあります。導入の際は、自社にとっての活用目的を明確にすることが重要です。

項目 多機能型カフェスペース リラックス型カフェスペース 交流型カフェスペース
イメージ画像 多機能型カフェスペース リラックス型カフェスペース 交流型カフェスペース
特徴 打ち合わせ・個人作業・休憩など、幅広い用途に対応した空間。 ソファ席や照明などで落ち着いた雰囲気を演出。心理的安全性を高める。 オープンで賑やかな雰囲気により、部門を越えた自然な交流を促進。
主な用途 少人数のミーティング/集中作業/ランチ休憩など 気分転換/休憩/1on1ミーティングなど 雑談/イベント/他部署とのコミュニケーションなど

多機能型カフェスペース

多機能型カフェスペース

特徴:打ち合わせ・個人作業・休憩など、幅広い用途に対応した空間。

主な用途:少人数のミーティング/集中作業/ランチ休憩など

リラックス型カフェスペース

リラックス型

特徴:ソファ席や照明などで落ち着いた雰囲気を演出。心理的安全性を高める。

主な用途:気分転換/休憩/1on1ミーティングなど

交流型カフェスペース

交流型カフェスペース

特徴:オープンで賑やかな雰囲気により、部門を越えた自然な交流を促進。

主な用途:雑談/イベント/他部署とのコミュニケーションなど

オフィスカフェ導入で得られる効果

オフィスカフェ導入によって得られる主な3つの効果を詳しく解説します。

企業イメージ向上

洗練されたオフィスカフェは、企業のカルチャーや価値観を視覚的に表現できる空間です。来訪者や求職者にとって印象に残る場となり、「社員を大切にしている企業」というイメージを与える効果があります。働きやすい環境づくりへの取り組みが社内外に伝わることで、ブランディングや採用力の向上にもつながります。

創造性・生産性向上

オフィスカフェは、執務空間とは異なるリラックスした雰囲気で、自然とアイデアが生まれる場になります。一時的に業務から離れることで頭がリセットされ、発想の転換や新たな気づきを得られることも。心理的安全性の向上や、リフレッシュによる生産性の維持・向上の効果も期待できます。

コミュニケーション活性化

部署や役職を超えた交流が生まれやすいことも、カフェスペースならではのメリットです。コーヒーを片手に自然と会話が生まれる場があることで、日常のコミュニケーションが活性化し、職場の一体感が高まります。また、福利厚生の一環としてカフェスペースを設けることで、社員満足度や人材定着率の向上にも効果が期待できます。

また、社員満足度の向上や人材定着を図る上では、「インナーブランディング」の考え方も欠かせません。具体的な進め方をこちらの記事で紹介していますので、ぜびご覧ください。

快適なカフェスペースを作る設計のポイント

カフェスペースを設計する際に押さえておきたいポイントを具体的に解説します。

壁紙や床材で空間に変化つける

壁紙や床材で空間に変化つけているカフェスペース

カフェスペースの壁紙や床材を木目調にするなど、空間を視覚的に区切るだけで、「ここはカフェスペースだ」と感じられる雰囲気が生まれます。

執務スペースとは異なる空間で気分もリフレッシュでき、自然に人が集まる場所になります。

リビングライクな家具を導入する

リビングライクな家具を導入しているカフェスペース

ソファやラウンジチェアなど、仕事の合間にほっと一息つける家具を置くことで、リラックスした雰囲気が生まれます。

一人でゆっくり休める席や、ランチやちょっとした打ち合わせに使える席など、シーンに応じて自由に選べるようにすると、利用率も自然に高まります。

カフェカウンターを取り入れる

カウンターを取り入れたカフェスペース

I字型やL字型のカウンターを取り入れることで、一気にカフェの雰囲気を演出できます。

さらにコーヒーマシンなどを設置すれば、社員が気軽に立ち寄れるきっかけができ、ちょっとした立ち話や雑談が生まれやすくなります。

【おすすめ】移動式のカフェワゴンを導入する

コンパクトなワゴンにコーヒーメーカーやお菓子をセットすることで、オフィス内の好きな場所に移動できる簡易カフェコーナーが完成します。スペースの問題等でカウンターの設置が難しい場合におすすめです。

(写真: コクヨ株式会社「Welca(ウェルカ)」

移動式のカフェワゴンの写真

照明で落ち着いた雰囲気をつくる

照明にこだわっているカフェスペース

間接照明などの暖色系の照明を取り入れると、温かみのある落ち着いた雰囲気を演出できます。業務中は白色蛍光灯の下で作業しているため、カフェスペースでは暖色系の照明にすることで、よりリラックスできる空間になります。

特にペンダントライトを置くだけで、ぐっとおしゃれな印象になるのもおすすめのポイントです。

小上がりの空間にする

小上がりのカフェスペース

小上がりとは、オフィスの床面を数十センチほど高くして設ける、段差付きのスペースのことです。床を少し上げるだけで空間に特別感が生まれ、思わず立ち寄りたくなる雰囲気を演出できます。

低めのテーブルやクッションを置けば、軽い打ち合わせや雑談の場としても活用でき、社員同士の自然な交流を促します。

オフィスカフェを定着させる運用のポイント

せっかくオフィスカフェを導入しても、活用されなければ意味がありません。ここでは、カフェスペースを運用・定着させるための工夫について解説します。

レイアウトの工夫

カフェスペースを設置する際は、目的に応じたレイアウトの工夫が重要です。

例えば、交流を促したい場合は、社員が自然に立ち寄れるように、人通りが多く目に入りやすい場所に配置するのが基本です。一方で、業務から離れてしっかりリフレッシュしてほしい場合は、執務スペースから少し離れた場所に設置し、周囲の音が気にならないよう配慮すると良いでしょう。

運用のヒント
  • 交流促進かリフレッシュか、目的に応じて配置を工夫
  • 交流を促す場合は、人通りが多く立ち寄りやすい場所に設置
  • リフレッシュ目的の場合は執務スペースから離し、音に配慮する

社員が楽しめる工夫

オフィスカフェの価値を高めるには、社員が自然に立ち寄りたくなる工夫が大切です。

例えば、照明や音楽で心地よい雰囲気を演出したり、季節限定のドリンクや月替わりのテーマを取り入れたりすることが効果的です。また、雑誌やボードゲーム、アートなど、そこでしか体験できない価値を加えることで、社員が楽しみながら利用できるカフェスペースになります。

運用のヒント
  • 照明や音楽で心地良い雰囲気を作り、滞在時間の質を高める
  • 季節限定ドリンクや月替わりテーマで、変化を楽しめる工夫をする
  • ライブラリーやアートなど、そこでしか得られない価値を提供する

運用ルールの作成

カフェスペースを社員が気持ちよく利用するためには、事前に運用ルールを定めておくことが重要です。具体的なルールを策定し周知することで、快適な利用環境を維持できます。

運用ルールの例
  • 飲食や持ち込みルール
  • 利用時間の制限やマナー
  • 清掃や片付けの担当分担
  • 混雑時の利用ルール
  • イベント時のスペース利用方法

オフィスカフェの導入事例4選

実際にオフィスにカフェスペースを設置している企業の事例を通じて、カフェ導入の背景や設計・デザインのポイントをご紹介します。

事例-1:新オフィスの象徴となるカフェスペース

多機能型カフェスペースの事例
多機能型カフェスペースの事例

丸紅プラックス株式会社様の事例を見る

社名にちなんで「Plax Garden」と名付けられたカフェスペースは、新オフィスでも特に眺望の良い場所に配置されています。外の景色を楽しみながらリラックスできる開放的な空間で、家具はハイカウンターやベンチ席を採用。業務とは異なる雰囲気を楽しめるだけでなく、コーヒーサーバーや電子レンジも完備されており、目的に応じた多様な使い方が可能です。

また、大きなコミュニケーションボードを設置したことで、社員同士の情報交換やアイデア共有の場として活躍しています。

設計ポイント
  • 床材は木目や石目調を使い、執務フロアとは異なる雰囲気に
  • カフェスペースに名前を付けて特別感を演出する
  • コミュニケーションボードなどで自然な社員交流を促す

事例-2:デザインの異なる2つの多機能型カフェスペース

リラックス型カフェスペースの事例
リラックス型カフェスペースの事例写真

ホームネットグループ様の事例を見る

社員数の増加と働く環境のさらなる改善を目指し、オフィスを移転。社員アンケートでは、「オープンな交流ができる場」と「一人で静かに過ごせる場」の双方を求める声が多く寄せられたことから、異なるニーズに対応する2つのリフレッシュ空間を設計しました。中央には自然を感じる「KOEN-公園-」(写真:左)、窓際には静かに過ごせる「KISSA-喫茶-」(写真:右)を配置し、どこからでも気軽に立ち寄れるレイアウトに。空間の使い分けにより、多様な働き方や過ごし方をサポートしています。

設計ポイント
  • アクセスしやすいようにフロア中央と窓際に分散配置
  • シンボルツリーや自然音のBGMを取り入れ、公園のような空間に
  • 静かなひとり時間とイベント時にも活用できる設備を設置

事例-3:社員の声を起点に生まれた、多機能型カフェスペース

多機能型カフェスペースの事例
多機能型カフェスペースの事例

株式会社カプコン様の事例を見る

「みんなが集まれる空間がほしい」「気分を切り替えて働ける場所があれば…」という社員の声をもとに、従来の執務室だった高層階の一角をラウンジへと再構築。自然光が差し込む開放感を活かし、リフレッシュ・集中・打ち合わせといった多様なシーンに対応できる空間を目指しました。木目やアースカラーを取り入れた温かみのあるデザインで、社員が自然と立ち寄りたくなる場を実現しています。

設計ポイント
  • リフレッシュや集中作業など、用途に応じて選べる多様な席配置
  • 空間全体に自然に近い色味を使い、やわらかく落ち着いた印象に
  • 全席に電源を完備し、どこでも快適に働ける環境を整備

事例-4:ABWオフィスに調和した、自由と交流を生むカフェスペース

多機能型カフェスペースの事例写真
多機能型カフェスペースの事例写真

明治アニマルヘルス株式会社様の事例を見る

オフィス移転をきっかけに、社員同士のコミュニケーションを促進し、自由な働き方を支えるABWを導入。その一環として、自然光が差し込む明るいカフェテリアを設けました。飲食や作業、リフレッシュなど多目的に使える空間は、部門を越えた交流を促す場としても機能。眺望の良い場所には、囲まれ感のあるチェアを配置し、ひとりで気分転換できるスペースも確保しています。

設計ポイント
  • カウンターやテーブル席で、食事・作業どちらにも使える仕様に
  • 床材の貼り分けでエリアをゆるやかにゾーニング
  • 眺望を楽しめる囲まれ感のあるチェアでリフレッシュに特化

まとめ

働き方が多様化する中、オフィスにカフェのような空間を設けることは、社員一人ひとりが「心地よく働ける場所」をつくる有効な手段です。小さな一角からのスタートでも、工夫次第で大きな効果が期待できます。スペースに余裕がない、具体的なイメージが湧かないなどのお悩みをお持ちの方も、働き方やご予算に合わせた最適なカフェスペースをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

監修

オフィスマーケティング部 コラム編集チーム

オフィスマーケティング部 
コラム編集チーム

オフィス移転やレイアウト変更、働き方改革に関する情報をお届けします。実際のオフィスづくりで得た知見をもとに、企業の課題解決に役立つノウハウを発信しています

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