スタンディングデスクに効果はある?座りすぎ対策と使い方のポイントを解説

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テレワークの普及や健康経営への関心の高まりを背景に、デスク環境を見直す企業が増えています。なかでも大きな注目を集めているのが、立つ・座るを切り替えて作業できる「スタンディングデスク」です。

本記事では、スタンディングデスクがもたらす効果やエビデンスをはじめ、失敗しないための注意点、効果を高める正しい使い方を分かりやすく解説します。さらに、実際のオフィス導入事例も交えてご紹介しますので、オフィス環境の整備やレイアウト変更をご検討中の担当者様は、ぜひお役立てください。

目次

スタンディングデスクとは

スタンディングデスクとは、立ったままの作業(立位)と座ったままの作業(座位)を切り替えて使えるデスクのことです。天板の高さを変えられる昇降式が主流で、ボタン操作で高さを調整できる電動タイプなど、さまざまな製品が登場しています。

近年は、オフィスの執務席や共用スペースのほか、在宅ワークのデスク環境として取り入れる例も増えてきました。

なぜ今、スタンディングデスクが注目されるのか

スタンディングデスクが注目される背景には、「座りすぎ」への関心の高まりがあります。
スポーツ庁によると、オーストラリアの研究機関の調査では、日本人の成人が平日に座っている時間は世界20カ国中もっとも長い1日約7時間と報告されており、座っている時間が長いほど健康リスクが高まるという研究結果も紹介されています。テレワークの普及で通勤による歩行機会が減り、自宅でも座りっぱなしになりやすい環境下、「座りすぎ」は多くの企業にとって身近な課題になりました。

また、経済産業省が推進する「健康経営」の考え方が広がり、社員の健康づくりを経営課題として捉える企業が増えていることも追い風です。厚生労働省とスポーツ庁も連携して、働く人が日常の中で体を動かす機会を増やす取り組みを進めており、「まずは立ち上がって少し体を動かす」ことが座りすぎ対策の一歩として紹介されています。デスクに向かったまま自然に立ち座りを切り替えられるスタンディングデスクは、こうした流れの中で、オフィスでできる座りすぎ対策のひとつとして注目されているのです。

※出典:スポーツ庁 Web広報マガジン

スタンディングデスクの効果

はじめに押さえておきたいのは、スタンディングデスクの効果の本質は「立つこと」そのものではなく、「座りっぱなしの状態を中断できること」にある、という点です。立てば立つほど健康になる、というものではありません。ここでは、期待できる効果を2つの視点から整理します。

座りすぎによる健康リスクを避けられる

デスクワークにおける長時間の着座は、さまざまな健康リスクを引き起こす原因となります。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」でも、腰痛予防の観点から、同じ姿勢を長時間続けないことや、適宜、小休止・体位の変換を取り入れることへの配慮が示されています

デスクワーク中心の職場では、気づけば午前中ずっと座りっぱなしだった、ということも珍しくありません。スタンディングデスクがあれば、仕事の手を止めずに立位へ切り替えられるため、「同じ姿勢を続けない」働き方を無理なく取り入れやすくなります。座りすぎを完全になくすことは難しくても、座位をこまめに中断するきっかけをつくれることが、スタンディングデスクの最も確かな効果といえます。

※出典:厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」 (PDF)

姿勢を変えることで集中力維持につながる

立つ・座るを切り替えること自体が、気分転換のきっかけにもなります。長く同じ姿勢で作業を続けていると、体のこわばりとともに集中も途切れがちですが、姿勢を変えることで気持ちを切り替え、リフレッシュしながら仕事に向かいやすくなります。昼食後の眠くなりやすい時間帯に、あえて立って作業ことは、多くのオフィスで実践されている効果的な活用法です。

また、立ったまま短時間で行う「スタンディングミーティング」に活用するのもおすすめです。立ったままの打ち合わせは自然と要点が絞られやすく、会議のダラダラとした長時間化を防ぐ工夫として取り入れる企業もあります。座りすぎの中断と、仕事のメリハリづくり。この2つを同時に叶えられるのが、スタンディングデスクの魅力です。

導入前に知っておきたい注意点・デメリット

ここまでスタンディングデスクの効果をご紹介してきましたが、単に「立ちさえすれば良い」というわけではない点には注意が必要です。導入後のミスマッチを防ぐために、あらかじめ押さえておきたい3つの注意点を解説します。

長時間の立位による疲労・むくみのリスク

座りすぎが体に負担をかけるのと同様に、立ちっぱなしもまた、足腰の疲労やむくみ、腰痛の原因になります。つまり、「座り続けるのも、立ち続けるのも避ける」ことこそが運用上の基本です。

スタンディングデスクは、立位と座位を交互に切り替えるためのツールです。導入時には「立って働くためのデスク」ではなく「姿勢を変えるためのデスク」であることを社内に周知・定着させることが、無理のない活用につながります。

高さが合わないと肩こり・姿勢不良につながる

デスクの高さが体に合っていないと、肩こりや姿勢の崩れを引き起こす原因になります。パソコンを作業する際の理想的な姿勢は、「上腕と前腕の角度が90度以上」になり、キーボードに自然に手が届く状態です。立って作業する場合も、この姿勢を無理なく保てる高さに天板を合わせることが基本となります。身長が同じでも体格によって最適な高さは異なるため、細かく調整できる昇降式などのデスクを選ぶと安心です。

あわせて、視線が下がりすぎないようモニターの位置も調整しましょう。正しい姿勢を保つには、デスクの高さとモニター位置の両方を最適化することが不可欠です。

※自分に合ったデスク高さの詳しい計算方法や調整のコツは、「デスクの最適な高さが仕事を変える!計算方法と調整術」でも解説しています。

通常のデスクより導入コストがかかる

スタンディングデスク、特に電動昇降式は、一般的なデスクと比べて価格が高くなる傾向があります。全席への一斉導入はハードルが高い、という企業も少なくありません。

まずは、共用スペースや会議コーナーなど、複数の社員が使える場所に数台から導入する「スモールスタート」がおすすめです。まずは限定的な導入で、社員の反応や利用状況を見ながら広げていくことで、投資のリスクを抑えつつ、自社に合った活用方法を見つけやすくなります。

効果を得るための正しい使い方

スタンディングデスクの効果を引き出すポイントは、「立ち続けないこと」です。ここでは、日々の業務に取り入れるためのコツをご紹介します。

① 「時間」ではなく「体の変化」で切り替える

座位と立位の切り替えは、一般的に「30分〜1時間に1回」が一つの目安です。ただし、時間に縛られすぎる必要はありません。「長時間同じ姿勢を続けない」ことを意識を優先し、体感に合わせて柔軟に切り替えることが長続きのコツです。

② タスクに合わせて姿勢を選ぶ

メールチェックや資料の確認、短時間の打ち合わせなど、比較的軽めの作業は立ち作業に適しています。反対に、長時間の思考や複雑な作業は着座で行うなど、タスクの性質に応じて姿勢を切り替える運用がスムーズです。

③ 足元アイテムで身体的負担をケアする

立ち作業時の足腰への負荷を軽減するため、疲労軽減マットやフットレストのを使用がおすすめです。姿勢をサポートする備品をセットで整えることで、社員がストレスなく活用できる環境をつくれます。

スタンディングデスクを導入するメリット

ここからは、オフィス環境を整える企業にとっての具体的な導入メリットを整理します。

健康経営やウェルビーイングの取り組みとして社内外にアピールできる

スタンディングデスクの導入は、「社員の座りすぎに配慮し、健康的に働ける環境を整えている」という姿勢が目に見える形で伝わる施策です。健康経営やウェルビーイングへの関心が高まるなか、採用活動やオフィス見学の場面においても、働く環境への積極的な投資として分かりやすいアピールポイントになります。

制度やスローガンと異なり、日常的に目に入る「オフィス環境」の刷新は、「会社が自分たちの健康を気にかけてくれている」という実感につながりやすくエンゲージメント向上にもつながります。

スタンディングミーティングで会議の活性化・効率化

昇降デスクやハイテーブルを打ち合わせスペースに取り入れることで、立ったまま行うスタンディングミーティングを自然に促せます。スタンディングミーティングは、朝会や進捗確認など、短時間で要点を絞って共有したい場面と相性の良い打ち合わせスタイルです。資料を囲んでサッと集まれるため、「会議室を予約するほどではないけれど、少し相談したい」という立ち話の延長感覚で意見を交わすことができます。

かしこまらずに立ち話の延長で意見を交わせることで、部署や役職を越えたコミュニケーションのハードルが下がり、業務のスピード感向上の効果も期待できます。

フリーアドレスやABW(働き方に応じた場所の選択)との高い親和性

固定席を設けないフリーアドレスや、業務内容に合わせて働く場所を選ぶABW(Activity Based Working)を採用するオフィスでは、多様な席の選択肢の一つとしてスタンディングデスクが活躍します。「今日は午後の眠くなる時間だけ立って作業しよう」というように、社員一人ひとりがその日の体調や業務に合わせて姿勢を選べる環境は、働きやすさの実感につながります。なお、ABWの考え方や導入のメリット、進め方については、ABW導入のメリットと進め方を完全ガイドで詳しくご紹介しています。

全席を昇降デスクにする必要はなく、エリアの一角にスタンディング席を数席設けるだけで、オフィス全体の席のバリエーションが広がります。レイアウトにメリハリが生まれ、空間デザインの面でもアクセントになるでしょう。

スタンディングデスクの選び方・種類

スタンディングデスクには、大きく分けて次のような種類があります。自社の使い方や予算に合わせて選ぶことが大切です。

  • 電動昇降式:ボタン操作で天板の高さを調整できるタイプです。高さをメモリー登録できる製品が多く、1日のうちに何度も立ち・座りを切り替えて集中力を維持したい個人席(固定席)に最適です。
  • 手動昇降式:手動ハンドルやガス圧で高さを調整するタイプで、電動式に比べてコストを抑えやすく電源も不要です。「特定の人の高さに一度合わせたら頻繁には変えない席」や、電源確保が難しいレイアウトに向いています。
  • ハイテーブル(固定高タイプ):昇降機能を持たない、あらかじめ高さが固定されたテーブルです。サッと集まる立ち会議スペースや、フリーアドレスの短時間作業(タッチダウン席)に向いています。昇降式よりコストが安く、配線処理やデザインの選択肢が広いのが魅力です。

どのタイプを選ぶ場合も、自席でじっくり作業するのか、共有スペースで短時間使うのかなど、「誰が・どこで・どんな働き方をするのか」をイメージしてオフィス全体と合わせて検討することが、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。

スタンディングデスクを取り入れたオフィス事例

ここでは、リリカラがオフィスづくりをお手伝いした事例の中から、昇降デスクを効果的に活用した事例をご紹介します。

多様な席の一つとして昇降デスクを取り入れたABWオフィス|商船三井興産株式会社

ビルメンテナンスや不動産管理で培ったノウハウを活かし、不動産活用の企画提案から建物の管理運営まで幅広く手掛ける商船三井興産株式会社様。約290坪・約100名規模のオフィス移転では、固定席中心の働き方から、業務内容や気分に合わせて働く場所を選べるABWへの移行に取り組まれました。

執務スペースは、壁やパーティションを設けない見通しの良いオープンな構成とし、「交流」「リフレッシュ」「集中」の3つのエリアで多様な席を用意。なかでも、会話や打ち合わせが自然に生まれる交流エリアには、上下昇降デスクやソファ席、1on1に使える席などを配置し、人が集まりやすく会話が生まれやすい環境をつくっています。集中エリアにも、メイン動線側にコミュニケーションを生み出す高さ違いのデスクを取り入れながら、カウンター席やフルクローズ型ブースなど、目的に応じて選べる席を揃えました。

昇降デスクを「全席に入れる」のではなく、「多様な席の選択肢のひとつ」として位置づけることで、社員が姿勢や過ごし方を自然に選べるオフィスを実現した好例です。プロジェクトの詳細は、商船三井興産株式会社様の事例でご紹介しています。

よくある質問

スタンディングデスクの効果を感じるまで、どれくらいかかりますか?

効果の種類によって異なり、「即日感じるもの」と「数週間かかるもの」があります。
眠気防止や気分転換、集中力の向上といった「意識面の効果」は導入初日から体感できます。一方、腰痛の軽減や姿勢改善といった「身体面の効果」は2週間〜1ヶ月ほどの継続で実感しやすくなります。

最初は「1時間のうち15〜20分だけ立つ」ことから始め、徐々に時間を伸ばしていくと無理なく効果を体感できます。

1日どれくらい立つのが目安ですか?

大切なのは一気に長く立つことではなく、「30分〜1時間に1回、姿勢を変えること」です。
まずは「1時間のうち15〜20分だけ立つ」ペースから始め、1日の合計で2時間程度を目指すと無理なく続けられます。ずっと立ち続けるのも身体の負担になるため、座り作業と立ち作業をこまめに切り替えるのがポイントです。

在宅ワークでも取り入れられますか?

十分に取り入れられます。むしろ運動不足になりやすい在宅勤務にこそおすすめです。
通勤がない在宅ワークは座りっぱなしになりやすいため、姿勢を切り替える習慣が健康維持や集中力アップに効果的です。自宅には、既存の机に置ける卓上タイプや、コンパクトな昇降デスクが適しています。導入時は「設置スペース」だけでなく、「搬入経路・天板の重さ・電源位置」の確認もポイントです。

まとめ

スタンディングデスクの効果の本質は、「座りっぱなしを中断できること」にあります。長時間の座位による健康リスクが指摘されるなか、仕事の手を止めずに姿勢を切り替えられるスタンディングデスクは、オフィスでできる座りすぎ対策の現実的な選択肢です。あわせて、気分転換によるメリハリづくりや、スタンディングミーティングによる会議の活性化など、働き方の面でもメリットが期待できます。

ただし、立ちっぱなしはかえって疲労のもとになるため、座位と立位をこまめに切り替える「正しい使い方」とセットで導入することが欠かせません。全席への一斉導入にこだわらず、共用スペースへの数台からのスモールスタートや、フリーアドレスの多様な席のひとつとしての導入など、自社の働き方に合った取り入れ方を検討してみてください。

リリカラは、インテリアメーカーとして培った素材・デザインの知見と空間づくりのノウハウを活かし、オフィスデザインからプロジェクトマネジメント、工事管理、家具選定、アフターサービスまでワンストップでオフィスづくりをサポートしています。昇降デスクをはじめとした家具選定を含む、健康的に働けるオフィスづくりをお考えの際は、お気軽にご相談ください

監修

オフィスマーケティング部 コラム編集チーム

オフィスマーケティング部 
コラム編集チーム

オフィス移転やレイアウト変更、働き方改革に関する情報をお届けします。実際のオフィスづくりで得た知見をもとに、企業の課題解決に役立つノウハウを発信しています

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