働きやすい職場環境の作り方とは?職場づくりの事例も解説 

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人材不足が深刻化するなか、人材の定着や若手人材の確保に向けた”働きやすい職場環境づくり”は、企業にとって喫緊の課題です。 また、生産性向上や業務効率の改善という観点からも、職場環境の整備は欠かせません。
本コラムでは、柔軟な働き方を支える制度や教育体制、オフィス環境といった、企業が取り組みやすいポイントを中心に、理想的な職場づくりの進め方を解説します。

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働きやすさを生み出す職場環境とは

働きやすい職場環境とは、年齢や立場を超えて意見を交わせて、社員が安心して業務に集中できる場所を指します。キャリアの成長とワークライフバランスを両立できることも、欠かせない要素と言えるでしょう。

その実現には、信頼し合える人間関係や、多様な働き方を支える制度、快適なオフィス環境、そして社員の成長を後押しする教育体制の整備が求められます。たとえば、上司と気軽に相談できる関係性があれば、安心して自律的に仕事を進められ、日々の業務にも前向きな気持ちが生まれます。

また、在宅勤務やフレックス制度など柔軟な働き方を選べる仕組みがあれば、通勤の負担を減らしながら、自分らしい働き方を実現することができます。こうした環境が整うことで、社員のエンゲージメントが高まり、「この会社で頑張りたい」と思える職場へと近づいていきます。

企業としても、社員が安心して力を発揮できる環境を整えることが、組織の持続的な成長を支える重要な基盤となります。

働きやすい職場環境の特徴

働きやすい職場には、共通して見られるいくつかの特徴があります。ここでは、「人間関係」「制度」「成長」「オフィス環境」といった視点から、働きやすい職場を形づくる要素を具体的に見ていきましょう。

安心して働ける人間関係と心理的安全性

働きやすい職場環境をつくるうえで、安心して働ける人間関係や心理的安全性は欠かせません。心理的安全性とは、周囲から否定や非難を受けることを恐れずに、自分の意見を安心して発言できる状態を指します。

心理的安全性が高い職場では、上司と部下の間に信頼関係が築かれ、年齢や立場を超えたオープンなコミュニケーションが生まれます。その結果、社員同士が意見を交わしやすくなり、安心して業務に取り組める職場づくりが実現します。さらに、こうした職場環境を構築することで、双方向のコミュニケーションが促進され、ハラスメント防止やチームの健全な関係づくりにもつながります。

働きやすい職場づくりのヒントとして、風通しの良い職場がもたらすメリットとオフィスづくりの10の施策もあわせてご覧ください。また、自然な交流を生むオフィス空間のつくり方では、空間設計からコミュニケーションを促進するポイントも解説しています。

柔軟な働き方を支える制度や仕組み

柔軟な働き方を実現する制度や仕組みが整っている企業は、働きやすい職場環境といえます。
たとえば、テレワークやフレックスタイム制度の導入、副業を認める仕組みなどがその一例です。
多様な働き方を選択できることで、社員は自分のキャリアやライフスタイルに合わせて働くことができ、スキルアップやキャリア形成にも良い影響を与えます。

こうした取り組みが、社員のエンゲージメントと定着率の向上に直結します。
定着率の高さは、優秀な人材の流出を防ぐだけでなく、人材採用や育成にかかるコスト削減にも寄与します。このように、柔軟な制度の整備はコストの最適化と生産性向上を促し、組織の持続的な成長を後押しする要素といえるでしょう。

社員のワークエンゲージメントの高め方フレックスタイム制度のメリット・デメリットについては、こちらでも解説しています。ぜひご覧ください。

成長を促すキャリア支援と教育体制

社員の成長を支援するキャリア制度や教育体制が整っている企業は、働きやすい職場環境といえます。
たとえば、実務に直結するスキルや知識を習得できるOJT(On-the-Job Training=実践研修)や外部研修制度、専門性の高いスキル取得をサポートする資格支援制度などが挙げられます。さらに、上司や人事担当とのキャリア相談の機会を設けることで、社員が自らの将来像を描きやすくなります。

こうした支援制度や教育体制が整っている企業では、社員の成長が促進され、仕事に対するモチベーションも高まります。また、キャリアパスの明示や先輩社員によるメンター制度を導入することで、社員一人ひとりが自分のキャリアプランをより具体的に描けるようになります。

快適性と効率性を両立したオフィス環境

働きやすい職場を実現するためには、快適性と効率性の両方を備えたオフィス環境が必要です。
たとえば、業務効率を最大化するレイアウト設計や、気軽なコミュニケーションや心身のリフレッシュができるカフェスペースの設置などが挙げられます。こうした環境づくりは、社員が安心して意見を交わし、自分らしく働ける心理的快適性の向上にもつながります。

さらに質の高いオフィス環境は、社員の帰属意識を高め、「この会社で働くことへのエンゲージメントの向上」に直結します。エンゲージメントが高まることで、離職率の低下や組織力の強化が期待できるほか、企業理念やブランドイメージをオフィスデザインに反映させることで、ブランドに共感する人材を惹きつけやすくなります。

こうしたオフィスブランディングの取り組みは、社外への発信だけでなく社内への理念浸透にも効果を発揮します。詳しくは、オフィスブランディング戦略の資料をご覧ください。

世代で変わる「働きやすさ」の価値観

働きやすい職場の定義は、世代や職種によって異なります。特にZ世代をはじめとする若手社員は、働く場所や時間の自由度などの柔軟な働き方に加え、企業のミッションや社会的意義への共感を重視する傾向があります。さらに、オープンな人間関係や心理的安全性、成長を実感できる環境やキャリア支援の充実も、職場選びで重視されるポイントです。

一方で、中堅・ベテラン層は安定した就業環境や業務効率の高さ、チーム連携の円滑さを重視する傾向があります。こうした世代ごとの価値観の違いを踏まえ、全ての社員が安心して働ける空間を整えることが、世代を超えて「働きやすい」と感じられる職場づくりにつながります。
そこで、世代ごとに異なる働き方の価値観と求められる環境を整理した表を以下にまとめました。

< 世代別の職場環境ニーズ >
若手世代 中堅世代 ベテラン世代
働き方に対する
価値観
共感できる企業理念や心理的安全性を重視し、仲間とのつながりや成長を感じられる柔軟な環境で働きたい メンバーの動きを把握しつつ、自身の業務に集中できるバランスの取れた環境で働きたい 対面でのコミュニケーションや安定した作業環境を重視し、自席を中心に落ち着いて働きたい
好む環境
  • フラットに交流できるコラボレーションエリア
  • 気軽に相談できるオープンスペース
  • 知見を共有できるスペース
  • 業務内容に応じて使い分けできるフレキシブルエリア
  • 集中しやすいチームブース/フォンブース
  • 見通しの良いセミオープン席
  • 長時間作業でも快適な高機能チェア
  • 書類を広げやすい大きめのデスク
  • 安心して使える固定席エリア

若手世代

働き方に対する価値観:
共感できる企業理念や心理的安全性を重視し、仲間とのつながりや成長を感じられる柔軟な環境で働きたい

好む環境(例):
・フラットに交流できるコラボレーションエリア
・気軽に相談できるオープンスペース
・知見を共有できるスペース

中堅世代

働き方に対する価値観:
メンバーの動きを把握しつつ、自身の業務に集中できるバランスの取れた環境で働きたい

好む環境(例):
・業務内容に応じて使い分けできるフレキシブルエリア
・集中しやすいチームブース/フォンブース
・見通しの良いセミオープン席

 

ベテラン世代

働き方に対する価値観:
対面でのコミュニケーションや安定した作業環境を重視し、自席を中心に落ち着いて働きたい

好む環境(例):
・長時間作業でも快適な高機能チェア
・書類を広げやすい大きめのデスク
・安心して使える固定席エリア

こうした価値観を踏まえたオフィスづくりでは、固定席にとらわれない柔軟なレイアウトや、多様なコミュニケーションを促すスペース設計企業らしさや環境配慮を反映したオフィスづくりが重要となります。

働きやすい職場・オフィス事例

オフィスレイアウトやフリーアドレス、休憩スペース、照明・空調など、物理的な快適さは働く人のパフォーマンスに直結します。近年では、ABW(Activity Based Working)やサステナブルなオフィスデザインの考え方が注目されており、これらを取り入れることで、生産性を高める「働きやすい環境」づくりが進んでいます。では、その具体的なポイントを見ていきましょう。

ABWが導入されたオフィス

その日の気分や仕事内容に応じて、自分で働く場所や時間を選べるABW(Activity Based Working)は、多様な働き方を実現する理想的な仕組みです。集中・協働・リラックスなど、目的に合わせて環境を使い分けることで、生産性や創造性を高められます。オフィス内には多様なエリアが設けられており、個々の業務スタイルに合わせて最適な場所を選べることで、柔軟で活気ある働き方を実現できます。

働き方のトレンドであるABWの特徴や導入プロセスについては、こちらで詳しく解説しています。

ABWが導入されたオフィスデザイン事例

ゼット・エフ・ジャパン株式会社様
オフィスリニューアルプロジェクトでは、ニューノーマルな働き方への対応と「新しい発想=コラボレーション」の創出を目的とし、ABWの概念が全面的に取り入れられました。社員が目的を持って働く「ABW」を導入したことで、「個人専用の席」という概念がなくなり、社員同士がよりフラットに交流できる環境を実現しました。

詳しい内容はこちら

サステナブル、SDGsを意識したオフィス

環境への配慮と多様性の尊重を両立したサステナブルなオフィスは、企業の社会的責任(CSR)やSDGsの達成にも寄与します。再生可能な資材の活用や省エネ設計に加え、社員一人ひとりが心身ともに健やかに働ける仕組みを整えることが重要です。次に挙げるような取り組みを通じて、持続可能で魅力ある職場づくりが実現します。

  1.  誰もが使いやすく、自由に情報発信・情報共有ができる。
  2.  ストレスを感じさせない、心身ともに健康に働ける環境・制度である。
  3.  垣根を超えたコミュニケーションを活性化し、絆を深める。
  4.  先進ICTを活用した柔軟な働き方ができる。
  5.  交流とプライバシーが両立されている。

また、オフィスで使用する家具や資材は、環境への配慮や長期利用の観点から選定することが重要です。見た目だけでは環境配慮型と分かりにくい場合は、説明を添えて掲示することで、若手世代をはじめ全社員およびオフィスを訪れるステークホルダーの環境意識を高めるきっかけとなります。

サステナブル、SDGsを意識したオフィスデザイン事例

某製造販売会社様
「サステナブルなマテリアルにより有機的なオフィス空間へ」というテーマのもと、リニューアルを実施しました。CO₂削減を意識したサステナブルな床材を採用するとともに、各所に豊富なグリーンを配置したバイオフィリアデザインを導入しています。

詳しい内容はこちら

企業理念が反映されたオフィス

企業理念が反映されたオフィスは、単なる働く場所ではなく、企業の価値観や社会的使命を体現する場となります。社会課題への関心が高い若手世代は、理念が明確で行動につながっている企業に共感します。そのため、理念を空間デザインや制度、コミュニケーションにまで落とし込み、従業員が日常的に体感できる環境を整えることが重要です。理念が息づく職場は、社員の納得感とエンゲージメントを高め、採用力や定着率の向上にもつながります。

企業理念が反映されたオフィスデザイン事例

ホームネットグループ様
「持続可能な社会の構築」という企業理念を体現するため、オフィスを“つい足を運びたくなるまち”をコンセプトにデザインしました。アップサイクル素材を積極的に活用し、サステナブルな空間を実現しています。「EKI」や「KOEN」などのエリアを設けることで、社員のウェルビーイングと交流を促進し、理念と働きやすさが融合したオフィスを創出しています。

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まとめ

働きやすい職場づくりには、柔軟な働き方を支える制度や教育体制に加え、快適で効率的に働けるオフィス環境の整備が欠かせません。業務効率を高めるレイアウトや、自然な交流を生むカフェスペース、心身をリフレッシュできるリラックスエリアなど、空間設計の工夫が重要です。さらに、企業理念やブランドイメージを反映したデザインは、社員のエンゲージメントを高め、世代を超えて働きやすい職場づくりにつながります。

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監修

オフィスマーケティング部 コラム編集チーム

オフィスマーケティング部 
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